第109回 — 薬剤
演習モードで解く下図に示すFick の法則に従う細胞膜透過において、薬物の透過速度と反比例す
るのはどれか。1つ選べ。
細胞外 細胞膜 細胞内
C1


Cout
Cout:細胞外溶液の薬物濃度
C1 :細胞外溶液と接する面の膜中薬物濃度
薬物の濃度
膜の厚さ

L
- 1✕膜の有効表面積
- 2✕薬物の膜中の拡散係数
- 3○膜の厚さ(L)
- 4✕薬物の膜への分配係数(C1/Cout)
- 5✕細胞外及び細胞内溶液と接する面の膜中薬物濃度の差(C1 - C2)
正答: 3
小腸上皮細胞を模式的に示した下図中の1 ~6 のうち、P–糖タンパク質の局在
と基質の輸送方向を正しく表しているのはどれか。1つ選べ。ただし、図中の矢印
の向きは基質の輸送方向を示す。
管腔側
血管側

- 1○
- 2✕
- 3✕
- 4✕
- 5✕
- 6✕
正答: 1
血漿タンパク質と結合する薬物について、平衡透析法により薬物の血漿タンパ
ク結合率を測定した。半透膜で隔てた透析セルの左側に血漿を、右側に薬物溶液を
それぞれ加え、平衡に達するまで37 °Cで振とうした。各透析セルの薬物濃度を
[A]~[C]とするとき、血漿タンパク質に結合した薬物濃度を示す式はどれ
か。1つ選べ。

- 1✕[B]+[C]
- 2✕[A]+[B]
- 3✕[A]-[B]
- 4✕[A]-[C]
- 5○[B]-[C]
正答: 5
ヒト肝臓において、最も発現量が多いシトクロムP450 分子種はどれか。1つ選
べ。
- 1✕CYP1A2
- 2✕CYP2C19
- 3✕CYP2D6
- 4✕CYP2E1
- 5○CYP3A4
正答: 5
胆汁中への排泄が主な消失経路である薬物はどれか。1つ選べ。
- 1✕カナマイシン
- 2○プラバスタチン
- 3✕リチウム
- 4✕メトトレキサート
- 5✕エナラプリル
正答: 2
体内動態が線形1–コンパートメントモデルに従う薬物を1 日1 回経口投与し、
定常状態における平均薬物血中濃度を0.2 mg/L としたい。この薬物の全身クリア
ランスを0.4 L/h/kg、バイオアベイラビリティを0.4 とすると、1 回あたりの投
与量(mg/kg)として最も近い値はどれか。1つ選べ。
- 1✕1
- 2✕2
- 3○5
- 4✕10
- 5✕20
正答: 3
TDM における薬物血中濃度の測定において、全血試料を用いて分析する必要が
ある薬物はどれか。1つ選べ。
- 1✕テイコプラニン
- 2✕バルプロ酸ナトリウム
- 3✕フェニトイン
- 4○シクロスポリン
- 5✕ジゴキシン
正答: 4
経口固形製剤からの弱電解質薬物の溶出性に影響を及ぼさない因子はどれか。
1つ選べ。
- 1✕薬物の粒子径
- 2✕薬物の結晶性
- 3○タンパク結合率
- 4✕溶液のpH
- 5✕溶液の粘度
正答: 3
液体の表面張力を測定する方法はどれか。1つ選べ。
- 1✕溶解度法
- 2✕沈降法
- 3✕吸着法
- 4○滴重法
- 5✕反応速度法
正答: 4
複合体を形成することによって、以下の疎水性薬物を安定化するのに用いられ
る化合物はどれか。1つ選べ。
一般名:アルプロスタジル
構造式:


CH3
- 1✕アスコルビン酸
- 2○a–シクロデキストリン
- 3✕カルメロースナトリウム
- 4✕エデト酸ナトリウム水和物
- 5✕パラオキシ安息香酸ブチル
正答: 2
有効成分を速やかに溶解させ、口腔粘膜から吸収させる口腔用錠剤はどれか。
1つ選べ。
- 1✕溶解錠
- 2○舌下錠
- 3✕チュアブル錠
- 4✕口腔内崩壊錠
- 5✕発泡錠
正答: 2
日本薬局方の製剤に関する一般試験法のうち、下図の装置を用いるのはどれ
か。1つ選べ。

ダイヤルゲージ
円錐
試料台
- 1✕崩壊試験法
- 2✕眼軟膏剤の金属性異物試験法
- 3○半固形製剤の流動学的測定法
- 4✕粘着力試験法
- 5✕吸入剤の空気力学的粒度測定法
正答: 3
等張化剤として用いられるのはどれか。1つ選べ。
- 1✕エタノール
- 2✕ポリソルベート80
- 3✕塩酸
- 4✕クロロブタノール
- 5○濃グリセリン
正答: 5
医薬品の二次包装はどれか。1つ選べ。
- 1✕ブリスター包装
- 2✕PTP(Press Through Package)包装
- 3✕ストリップ包装
- 4○ピロー包装
- 5✕プラスチックバッグ
正答: 4
下の模式図で表される経口徐放性製剤の放出制御膜として、適切なのはどれか。
1つ選べ。
薬物放出口

プッシュ層
- 1✕糖衣
- 2○半透膜
- 3✕腸溶性皮膜
- 4✕生分解性皮膜
- 5✕イオン交換樹脂膜
正答: 2
下図はイトラコナゾールカプセル200 mg を健常人男性(21~28 歳)12 名に経
口投与した際の血中濃度(平均値)の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血
中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53%に減少した。イトラコナゾール
の吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のう
ち、正しいのはどれか。2つ選べ。
血中イトラコナゾール濃度(ng/mL)0.25

○:イトラコナゾールカプセルを水で服用
●:イトラコナゾールカプセルをファモチジン錠(40 mg)とともに水で服用
- 1✕イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が
低下する。ファモチジンの作用により胃内pH が上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。 - 2✕ファモチジンがP–糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するた
め、吸収が低下する。ファモチジンが胃内pH を上昇させることでイトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。 - 3○ファモチジンの作用により胃内pH が上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低
下するため、吸収が低下する。 - 4✕ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。オメプラゾールも胃内pH を上昇させるため同様に吸収が低下し、代替薬として適切ではない。
- 5○イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。
正答: 3・5
経口投与する薬物について、食事により量的バイオアベイラビリティは変わら
ないが、速度的バイオアベイラビリティが低下するのはどれか。2つ選べ。
- 1○アセトアミノフェン
- 2○セファクロル
- 3✕リボフラビン
- 4✕フェニトイン
- 5✕インドメタシン ファルネシル
正答: 1・2
線形1–コンパートメントモデルに従い、肝代謝と腎排泄によってのみ体内から
消失する薬物Aを、ある患者に急速静注したときの体内動態データを以下に示す。
この患者の糸球体ろ過速度(GFR)を120 mL/min としたとき、薬物Aの血漿タ
ンパク非結合率に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、薬物Aは腎尿細管で分
泌・再吸収を受けず、血漿タンパク非結合形のみが糸球体でろ過されるものとす
る。
薬物Aの体内動態データ

- 1✕0.02
- 2✕0.04
- 3✕0.06
- 4○0.08
- 5✕0.10
正答: 4
薬物のみかけの分布容積とその変動に関与する血漿タンパク結合に関する記述
のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1✕みかけの分布容積は、体内薬物量と血漿中薬物濃度の平衡定数として定義され
る。みかけの分布容積は、体内薬物量と血漿中薬物濃度の比(商)として定義される。 - 2○特定の臓器や細胞内小器官(核やリソソーム、ミトコンドリアなど)に分布す
る薬物は、体重1 kg あたりの分布容積が10 L を越えることがある。 - 3✕脂溶性の高い薬物の分布容積は加齢に伴って減少する。脂溶性の高い薬物の分布容積は加齢に伴って増大する。
- 4✕血漿タンパク結合率が高い薬物のみかけの分布容積は体内水分量とほぼ等し
い。血漿タンパク結合率が高い薬物のみかけの分布容積は小さい。 - 5○タンパク非結合型薬物の濃度は、定常状態において血漿中と組織間隙液中との
間でほぼ等しい。
正答: 2・5
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選
べ。
- 1✕CYP2C19 の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積
(AUC)は変化するが、代謝物のAUC は変化しない。CYP2C19 の遺伝子多型によってオメプラゾールの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化し、代謝物のAUC も変化する。 - 2○CYP2D6 の遺伝子多型が関与するイミプラミンのpoor metabolizer(PM)で
は、活性代謝物の血中濃度が高い。 - 3✕アザチオプリンを使用する前には、UDP–グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)
の遺伝子多型の診断が行われている。アザチオプリンを使用する前には、チオプリンS–メチル転移酵素(TPMT)の遺伝子多型の診断が行われている。 - 4✕N–アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人では約10%
がイソニアジドのアセチル化反応速度が速い群に属する。N–アセチル転移酵素(NAT2)には遺伝子多型が存在し、日本人ではアセチル化反応速度が速い群が約9 割を占める。 - 5○アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はPM の頻度に人種差があり、白人と比べ
て日本人ではPM の出現率が高い。
正答: 2・5
下表には薬物の肝抽出率及び血漿タンパク結合率を示す。これら3 種の薬物の
体内動態の変動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

- 1✕ニカルジピンの肝クリアランスは、肝血流量による影響を受けない。ニカルジピンの肝クリアランスは、肝血流量による影響を受ける。
- 2✕ニカルジピンの定常状態における非結合形薬物濃度は、肝血流量が一定であれ
ば、血漿タンパク結合率の変動による影響を受けない。ニカルジピンの定常状態における非結合形薬物濃度は、肝血流量が一定であっても、血漿タンパク結合率の変動による影響を受ける。 - 3○フェニトインとテオフィリンの肝クリアランスは、いずれも肝固有クリアラン
スの変動の影響を受けやすい。 - 4✕血漿タンパク質の減少による肝クリアランスへの影響は、フェニトインよりテ
オフィリンの方が大きい。血漿タンパク質の減少による肝クリアランスへの影響は、テオフィリンよりフェニトインの方が大きい。 - 5○フェニトインとテオフィリンの定常状態における非結合形薬物濃度は、肝固有
クリアランスが一定であれば、血漿タンパク結合率の変動による影響を受けな
い。
正答: 3・5
TDM の実施が望ましい薬物の性質として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1✕有効血中濃度の範囲が広い。有効血中濃度の範囲が狭い。
- 2✕体内動態の個人差が小さい。体内動態の個人差が大きい。
- 3✕薬物相互作用を受ける可能性が低い。薬物相互作用を受ける可能性が高い。
- 4○体内動態に非線形性が認められる。
- 5○副作用と対象疾患の症状の区別が難しい。
正答: 4・5
177-178 共通の設問
抗悪性腫瘍薬であるイリノテカンはプロドラッグである。この薬物の製剤
と代謝に関する以下の問に答えよ。
イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述
のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、本製剤は以下の添加物を含む。
添加物
1,2–ジステアロイル–sn–グリセロ–3–ホスホコリン、コレステロール、
N–(カルボニル–メトキシポリエチレングリコール–2000)–1,2–ジステアロイル
–sn–グリセロ–3–ホスホエタノールアミンナトリウム塩、
4–(2–ヒドロキシエチル)–1–ピペラジンエタンスルホン酸
- 1✕イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。イリノテカンをリポソームに封入した製剤である。
- 2○ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。
- 3✕能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。受動的ターゲティング(EPR 効果)により腫瘍に集積する。
- 4○細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。
- 5✕製剤中に含まれる微粒子は150 nm 程度である。製剤中に含まれる微粒子は110 nm 程度である。
正答: 2・4
イリノテカンは酵素(ア)によって活性代謝物(イ)に変換され、さらに酵素
(ウ)によって代謝物(エ)に変換され不活化される。(ア)の酵素及び(イ)の
構造式、(ウ)の酵素及び(エ)の構造式のそれぞれの組合せとして、正しいのは
どれか。1つ選べ。
A B

C


O
酵素(ア) 代謝物(イ) 酵素(ウ) 代謝物(エ)
- 1✕CYP3A4 A 硫酸転移酵素 C
- 2✕UDP–グルクロン酸転移酵素 A CYP3A4 B
- 3○カルボキシルエステラーゼ A UDP–グルクロン酸転移酵素 B
- 4✕CYP3A4 B 硫酸転移酵素 C
- 5✕UDP–グルクロン酸転移酵素 B カルボキシルエステラーゼ A
- 6✕カルボキシルエステラーゼ B UDP–グルクロン酸転移酵素 A
正答: 3
2 種類の粉体A及びBの粉体層について、図1 に示すように、種々の垂直応力
(v)を加えた状態で可動セルを水平方向に引っ張ることでせん断試験を行った。
得られたせん断応力(x)の値をv に対してプロットした結果を図2 に示す。以下
の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、x とv の間にはクーロンの
式が成立するものとする。
クーロンの式 x = n・v + C
n:内部摩擦係数、C:付着力(いずれも定数)

垂直応力(v)
図1 図2
- 1○粉体Aは粉体Bよりも安息角が大きい。
- 2✕粉体Aを造粒するとグラフの傾きが大きくなる。粉体Aを造粒するとグラフの傾きが小さくなる。
- 3✕粉体Bは粉体Aよりも付着力が強い。粉体Bは粉体Aよりも付着力が弱い。
- 4✕粉体Bに滑沢剤を適量添加すると内部摩擦係数が大きくなる。粉体Bに滑沢剤を適量添加すると内部摩擦係数が小さくなる。
- 5○粉体Bは粉体Aよりもオリフィスからの流出速度が大きい。
正答: 1・5
固体薬物AをS = 3 cm2 の円盤状に圧縮し、回転円盤法で37 °Cにおいて溶解
実験を行った。固体薬物Aの溶解速度は(1 )の式に従い、試験中S は変化しな

- 1○0.021
- 2✕0.033
- 3✕0.063
- 4✕0.077
- 5✕0.099
正答: 1
薬物の溶解性の改善に用いる添加剤とその溶解性改善の機構との組合せのう
ち、正しいのはどれか。2つ選べ。
添加剤 溶解性改善の機構
- 1✕ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 可溶性塩の形成
- 2○ヒドロキシプロピルメチルセルロース 固体分散体形成
- 3✕ポリビニルピロリドン 自己乳化
- 4✕エチレンジアミン ミセル内取り込み
- 5○エタノール コソルベンシー
正答: 2・5
バイオ医薬品の微粒子製剤の水への分散性を、ゼータ電位と平均粒子径から評
価した。下図の異なるpH における結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。ただし、一次粒子の粒子径はpH により変化せず、温度は一定とする。
また、粒度分布は一峰性で十分小さく、粒子の凝集は可逆的とする。

- 1○pH 2 で分散粒子は正に帯電している。
- 2○pH 5 付近で最も凝集性が高い。
- 3✕pH 6 付近で粒子表面は電気的に中性である。pH 5 付近で粒子表面は電気的に中性である。
- 4✕pH 8 以上で粒子は凝析している。pH 8 以上で粒子は安定に分散している。
- 5✕塩を加えることでpH によらず分散性を改善できる。塩を加えると、電気二重層が圧縮されて粒子が凝集しやすくなり、分散性は悪化する。
正答: 1・2
下図は湿式顆粒圧縮法の製造工程である。A、Bの単位操作で使用する装置の
組合せのうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

オ

ヒーター
- 1✕ア イ
- 2✕オ エ
- 3○イ ウ
- 4✕エ オ
- 5✕ウ ア
正答: 3
図1 に示すニフェジピン徐放錠を8 分割又は分割せずに、1 錠分をヒトに経口
投与したときの血漿中ニフェジピン濃度の推移を図2 に示す。この錠剤に関する記
述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

図1 ニフェジピン徐放錠の構造と溶出特性
90

80
図2 血漿中ニフェジピン濃度推移
- 1✕スパンタブ型の錠剤である。内核錠を有する有核錠(ドライコーティング錠)である。
- 2○8 分割した錠剤の血中濃度推移はAである。
- 3○外層部は徐放性マトリックスである。
- 4✕内核錠は徐放性コーティングされている。内核錠は速放性である。
- 5✕錠剤全体が腸溶性コーティングされている。錠剤全体の腸溶性コーティングはなく、胃で内核の速放部が溶出する。
正答: 2・3
264-267 共通の設問
39 歳、閉経前女性。身長155 cm、体重43 kg、体表面積1.38 m2。右乳房
に腫瘤を触知し、乳腺外科を受診、針生検の結果、T1N1M0 のStageIIA の右乳
がんと診断され、入院した。右乳房部分切除術、センチネルリンパ節生検及び腋窩
リンパ節郭清を実施した。術後の検査所見は以下のとおりであった。
(検査所見)
リンパ節転移6 個、エストロゲン受容体(ER)陽性、
プロゲステロン受容体(PgR)陽性、
HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2 型)陰性、AST 20 IU/L、ALT 17 IU/L、
血清クレアチニン0.88 mg/dL、BUN 18 mg/dL、白血球5,600/nL、
赤血球368 # 104/nL、Hb 11.2 g/dL、血小板28 # 104/nL、好中球4,500/nL
今回この患者に以下の術後薬物療法を施行することとなった。
(処方1 )

1 日1 回 朝食後 14 日分
(処方2 )
リュープロレリン酢酸塩注射用キット3.75 mg 1 キット
1 回3.75 mg 4 週間ごとに1 回皮下注射
処方2 の製剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1○乳酸・グリコール酸共重合体が使用されている。
- 2✕高分子で薬物結晶をコーティングしている。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)のマトリックス中に薬物を分散させた製剤である。
- 3○マトリックスを形成している高分子が分解することにより薬物を放出する。
- 4✕自己乳化型マイクロエマルション製剤である。乳酸・グリコール酸共重合体のマトリックス型の持続放出性(デポ)注射剤である。
- 5✕粉末部の薬剤を液体部の溶液で溶解して使用する製剤である。粉末部の薬剤を液体部の溶液で懸濁して使用する製剤である。
正答: 1・3
268-269 共通の設問
43 歳男性。既婚で妻と二人暮らし。糖尿病治療のため、インスリンの自己
注射を行っている。インスリン療法開始から1 年程度経過し、血糖値は正常値に近
づいてきた。しかし、食事をとらずに注射したときや入浴中の低血糖症状による意
識障害により、救急搬送を何度か経験しており、グルカゴン注射液を家族が投与で
きるよう3 ケ月前に処方(処方1 )された。しかし、その後重症低血糖による意識
障害を起こしている本人を前にして、妻が注射液の調製を失敗してしまい、救急車
を待つことしかできなかった。そこで、今後の低血糖対策として、グルカゴン点鼻
粉末剤(処方2 )を使用できるよう、妻同席のもと医師による説明が実施され、薬
剤部には薬剤の使用方法等について説明の依頼があった。
(処方1 )

下図は処方1 と処方2 の薬剤投与時の、血漿中グルカゴン濃度(A)と血中グル
コース濃度(B)の時間推移をそれぞれ示したものである。次の記述のうち、正し
いのはどれか。2つ選べ。

図 各薬剤投与後の血漿中グルカゴン濃度(A)と血中グルコース濃度(B)
の時間推移
- 1✕処方1 で投与した場合のグルカゴンの最高血漿中濃度到達時間は30 分である。処方1 で投与した場合のグルカゴンの最高血漿中濃度到達時間は約20 分である。
- 2○処方1 で投与した場合の投与後60 分までの血中グルコース濃度の上昇推移
は、処方2 で投与した場合とほぼ等しい。 - 3○処方2 で投与した場合、グルカゴンは鼻粘膜より直接体循環に移行し、肝臓で
の初回通過効果を回避することができる。 - 4✕処方2 で投与する場合に処方1 の場合と同等の血中グルコース濃度上昇作用を
得るためには、同用量のグルカゴンが必要である。処方2 で同等の血中グルコース濃度上昇作用を得るための用量は、処方1 と同じではない。 - 5✕処方2 で投与した場合、投与後30 分までの血中グルコース濃度は約70 mg/dL
であり、最大血中グルコース濃度は140 mg/dL を超える値まで上昇する。処方2 で投与した場合、投与後30 分の血中グルコース濃度は約125 mg/dL、最大血中グルコース濃度は160 mg/dL 程度である。
正答: 2・3
270-271 共通の設問
73 歳男性。体重60 kg。慢性気管支炎のため、長期治療(エンクラッセ
62.5 ng エリプタ30 吸入用(注)、1 日1 回1 吸入)を実施中である。咳嗽症状が悪
化し、39 °C以上の発熱、茶色の喀痰症状があり、肺炎疑いのため、入院加療と
なった。
最近では肺炎を繰り返しており、精査を行ったところ、末梢血好酸球増加、アス
ペルギルスの抗体検査及び喀痰検査陽性、レントゲン画像所見などから、アレル
ギー性気管支肺アスペルギルス症と診断され、ボリコナゾール200 mg 静注用を投
与することとなった。投与量は、ボリコナゾールとして初日は1 回6 mg/kg を1 日
2 回、2 日目以降は1 回3 mg/kg を1 日2 回とした。投与開始から4 日目と8 日
目に血中濃度を測定した。測定結果がわかるまでに数日を要することから、病棟カ
ンファレンスにおいて、薬物治療に関する確認事項を共有した。
(注) 1 吸入でウメクリジニウムとして62.5 ng を吸入できるドライパウダー吸入
剤
点滴投与から9 日後、平熱に戻り、呼吸状態も改善されたため退院が決定し、点
滴静注からボリコナゾール錠150 mg を1 回1 錠、1 日2 回の内用剤に切り換える
ことになった。定常状態に到達後の血中濃度を測定したところ、ボリコナゾールの
平均血中濃度は4 ng/mL であった。
臨床試験の結果から、ボリコナゾールの体内からの消失はミカエリス・メンテン
式に従うこと、最大消失速度はボリコナゾールの主な代謝酵素のextensive
metabolizer(EM)では35 mg/h であること、ミカエリス定数は遺伝子多型の影
響を受けず4 mg/L であることが示されている。この患者の最大消失速度はEM の
何倍か。最も近い値を1つ選べ。ただし、ボリコナゾールの経口投与後のバイオア
ベイラビリティは100%とする。
- 1✕0.2
- 2✕0.4
- 3○0.7
- 4✕0.9
- 5✕1.4
正答: 3
272-273 共通の設問
53 歳男性。以前から、A病院内科で高血圧症、脂質異常症、糖尿病、胃潰
瘍、腰痛症に対して治療を受けており、症状は安定していた。最近、仕事のストレ
スのためか気分が落ち込むことが多く、食欲不振、不眠などが続くため、B心療内
科を受診した。うつ病と診断され、処方箋を持って、かかりつけの薬局を訪れた。
(処方)

前問の薬剤を選択した理由に最も深く関係する機序はどれか。1つ選べ。
- 1✕胃内pH の上昇
- 2✕小腸CYP3A4 発現量の増加
- 3✕小腸P–糖タンパク質発現量の増加
- 4○肝CYP1A2 の阻害
- 5✕肝CYP3A4 の阻害
正答: 4
274-275 共通の設問
34 歳既婚女性。高血圧症、逆流性食道炎治療中。かかりつけ薬局の薬剤師
がいつもの薬をお渡しする際に副作用の発現状況などを確認していると、患者は半
年前に結婚し、そろそろ子供が欲しいと思うようになったとのことであったが、患
者背景については、薬歴が更新されていなかった。
(処方1 )病院循環器内科

処方薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 1✕エナラプリルは、消化管吸収の改善を目的としたプロドラッグである。
- 2✕エナラプリルは、エステル部分の加水分解により代謝活性化される。
- 3✕ランソプラゾールは、主にCYP2C19 又はCYP3A4 で代謝される。
- 4○ランソプラゾールは、苦味の軽減を目的としたプロドラッグである。
- 5✕センノシドは、腸内細菌による代謝物が腸の蠕動運動を促進する。
正答: 4
276-277 共通の設問
75 歳男性。身長164 cm、体重52 kg。胃全摘出術後3 日目の消化器外科入
院中に、38.3 °Cの発熱が認められ、咳、痰と呼吸困難を訴えた。胸部X 線検査で
右下肺野に浸潤影を認め、喀痰培養検査によりMRSA が検出されたため、以下の
処方により治療を開始することとなった。
(身体所見及び検査値)
血圧101/60 mmHg、白血球11,000/nL、CRP 6.7 mg/dL、AST 22 IU/L、

この患者におけるバンコマイシンの分布容積は62.5 L、クリアランスは3.6 L/h
と見積もられている。2 回目投与直前のバンコマイシンの血中濃度と定常状態にお
けるトラフ値の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
ただし、投与量の計算において、投与に要する時間は投与間隔に対して無視でき
るほど短いものとし、投与中における体内からのバンコマイシンの消失は無視でき
るものとする。

- 1✕4 8
- 2✕4 12
- 3○8 16
- 4✕8 20
- 5✕12 20
- 6✕12 40
正答: 3
278-279 共通の設問
1 歳6 ケ月女児。体重10 kg。昼過ぎから発熱(38 °C)のため、一般用医
薬品の解熱剤を服用させていたが、夜間、急速に熱が上がり、同時に15~20 分続
く痙れんが起こったため、夜間対応している近所の小児科を受診し、処置により症
状は安定した。翌日、小児科を再受診し、父親が以下の処方箋(処方1 及び2 )を
持って薬局を訪れた。
薬剤師が父親と面談したところ、患児は、8 ケ月前にも発熱後に痙れんを起こ
し、今回と同じ小児科を受診したが、坐剤を2 種類処方されたのは初めてとのこと
であった。
(処方1 )

処方1 及び2 の坐剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1✕処方1 の基剤は、マクロゴール400 とマクロゴール4000 を1:1 で混合したも
のである。処方1 の基剤は、水溶性の基剤(ポリエチレングリコール系)である。 - 2✕処方1 の基剤は、直腸内で体温により溶融して薬物を放出する。処方1 の基剤は、直腸内の水分で溶解して薬物を放出する。
- 3○処方2 の基剤は、モノ、ジ、トリグリセリドの混合物である。
- 4✕処方2 の基剤は、直腸内の水分で溶解して薬物を放出する。処方2 の基剤は、直腸内で体温により溶融して薬物を放出する。
- 5○いずれの坐剤も薬物の肝初回通過効果を回避できる。
正答: 3・5
280-281 共通の設問
6 歳男児。てんかん小発作の治療のため、以前からバルプロ酸Na シロッ
プ5 %を服用している。進学に伴い、薬局薬剤師に服用回数を減らすことができな
いかとの相談があった。この男児は、2 ケ月前に上気道炎にて受診時に、錠剤が処
方されたが服用できなかったため、散剤に変更となったと薬歴に記載されていた。

提案された製剤は、以下の添加剤を含み、図のような構造をしている。この製剤
に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
添加剤: ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビ
ニルポリマー、エチルセルロース

水不溶性フィルム
- 1✕水不溶性フィルムとしてヒドロキシプロピルセルロースが用いられている。水不溶性フィルムとしてエチルセルロースが用いられている。
- 2✕消化液によって膨潤するゲル基剤としてエチルセルロースが用いられている。消化液によって膨潤するゲル基剤としてヒドロキシプロピルセルロースが用いられている。
- 3○製剤内部の薬物が飽和濃度で、シンク条件が保たれる間は、薬物が一定速度で
放出される。 - 4✕製剤からの累積薬物放出量の時間推移は、Higuchi 式に従う。製剤からの薬物放出は零次放出(一定速度)を示す。
- 5○薬物を放出した後の残渣が便中に排出される。
正答: 3・5
282-283 共通の設問
6 歳女児。体重20 kg。5 日前より咳嗽の症状があり、夜間に37.5 °C程度
の微熱が続いていた。市販の解熱剤と咳止め用シロップ剤などを服用させて様子を
見ていたが、3 日前から夜になると咳が止まらなくなり、本日、38.0 °Cまで熱が
上がったため、近医を受診した。診察及び検査の結果、以下の薬剤が処方され、患
児の母親が処方箋を持って薬局を訪れた。
(処方1 )

患児の母親への服薬指導にあたって、事前に処方3 のツロブテロールテープ剤に
関する医薬品情報を調べたところ、有効成分及び製剤に関して、以下の情報が得ら
れた。
ツロブテロール経皮吸収型テープ
製剤断面図(模式図)

上記の情報に基づいて、本製剤を患児に単回貼付して24 時間後に剥離した場合
の血清中薬物濃度の時間推移のパターンを予測したグラフとして、最も適切なのは
どれか。1つ選べ。なお、小児(喘息児5 名)にツロブテロールドライシロップ剤
20 mg/kg(ツロブテロール塩酸塩として0.02 mg/kg)を経口投与した場合の体内
半減期は、インタビューフォームから3.56 時間であった。
- 1✕

- 2○

- 3✕

- 4✕

- 5✕

正答: 2
284-285 共通の設問
43 歳男性。妻38 歳、長男4 歳。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ
性白血病のため大学病院血液内科にて化学療法中(シクロホスファミド、ビンクリ
スチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)である。また、化学療法に伴う副作用
軽減のため、処方1 の薬剤を服用している。右眼に霧視が発現したため、近隣の眼
科を受診した。網膜浮腫と周辺部の血管炎があり、大学病院眼科にて精査のため入
院となった。化学療法実施中であり、眼底所見から、サイトメガロウイルス網膜炎
と診断され、ガンシクロビル点滴静注600 mg/day の投与が開始された。
(検査所見)
白血球4,360/nL、好中球2,065/nL、リンパ球1,720/nL、好塩基球490/nL、
CMV 抗体陽性、Hb 12 g/dL、右眼の矯正視力は今回受診時測定不能、
左眼1.2、HbA1c 8.7%、CCr 61 mL/min
(処方1 )

前問で処方された内服薬は、注射剤であるガンシクロビルの消化管吸収を改善す
ることによって経口製剤化した医薬品である。有効成分の吸収に影響する因子を考
慮するために、構造式及び物性値から主たる吸収改善の機構を推定した。最も適当
なのはどれか。1つ選べ。
バルガンシクロビル塩酸塩の構造式:
H2N


O
O
pKa:約7.6
分配係数:0.0095(1–オクタノール/pH 6.96 緩衝液)
- 1✕塩の形成による溶解性の改善
- 2✕疎水性を高めることによる受動輸送の改善
- 3✕腸内細菌による活性体への変換
- 4○ペプチドトランスポーターの基質となる化学修飾
- 5✕P–糖タンパク質による能動輸送の促進
正答: 4