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医療薬学Ⅱ

問181
採尿方法および尿の異常に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 腎疾患の診断目的で尿検査をする場合には、尿道口付近をできるだけ清 浄にした後、出始めの尿を捨て、中間尿を採取する。
 b 尿中β2-ミクログロブリン量の上昇は尿細管障害の指標となる。
 c 腎糸球体の基底膜に障害が生じると、尿中のアルブミン量が増加する。
 d 尿道炎、膀胱炎、腎孟腎炎がある場合、尿中に出現する白血球の大部分 はリンパ球である。
 e 試験紙法で尿潜血反応が陽性になるのは、尿沈渣に赤血球が認められる ときのみである。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問182
各種悪性腫瘍とその主な腫瘍マーカーとの関療について、正しいものの組合せ はどれか。

a 前立腺癌 AFP (α-fetoprotein)
b 大腸癌、膵癌 CEA (carcinoembryonic antigen)
c 胃癌 PSA (prostate specific antigen)
d 子宮頸癌、肺癌 (扁平上皮癌)  SCC抗原 (squamous cell carcinoma related antigen)
e 肝細胞癌 PIVKA-II (protein induced by vitamin K absence-II)


  1(a、b、c)  2(a、c、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問183
うつ病とその治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a うつ病では、睡眠欲求の減少や誇大妄想が生じる。
 b レセルピンは、うつ状態を引き起こすことがある。
 c 塩酸イミプラミンは、モノアミン作動性神経の伝達物質の再取り込みを 促進する。
 d 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、三環系抗うつ薬よりも抗 コリン作用、抗ヒスタミン作用による副作用が少ない。
 e SSRI投与開始後に興奮、錯乱、振戦などが生じた時には、セロトニン症 候群の可能性がある。

  1(a、b、c)  2(a、c、d)  3(a、d、e)  4(b、c、e)  5(b、d、e)


問184
パーキンソン病の治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a レボドパは黒質線条体のドパミン作動性神経に取り込まれ、ドパミンと して作用する。
 b レボドパの脳内移行量を増加させるため、レボドパとドパ脱炭酸酵素阻 害薬との合剤が用いられる。
 c メシル酸ブロモクリプチンは、ドパミンD2受容体を直接刺激 する。
 d 塩酸アマンタジンは、ドパミン作動性神経末端からのドパミン放出を抑 制する。
 e 塩酸トリヘキシフェニジルは、コリン作動性神経に興奮性の刺激を与える。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問185
骨粗しょう症の治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 閉経後骨粗しょう症に対しては、骨吸収促進作用を有するビスホスホネ ート製剤が用いられる。
 b メナテトレノンは食後投与では吸収が低いので、空腹時に服用すべきである。
 c 骨痛がある場合には、カルシトニン製剤が適応となる。
 d ワルファリンカリウム服用中の患者にメナテトレノンを投与すべきでない。

  1(a、b)  2(a、c)  3(b、c)  4(b、d)  5(c、d)


問186
関節リウマチに関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 自己免疫疾患の一つで、関節の滑膜がおかされる。
 b 病変は関節に限局して認められる。
 c 初発症状として「朝のこわばり」を認めることが多い。
 d 遺伝的要因が発症に関与することがある。
 e 診断確定後、第一選択薬として副腎皮質ステロイド性薬の投与を開始する。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問187
50歳の男性、5年前に職場の検診で尿糖を指摘されたが放置してきた。3日前か ら足のむくみに気づき来院した。現在、薬物治療を受けていない。身長177 cm、体重66 kg。下肢に浮腫を認める。脈拍48/分、血圧188/99 mmHg。尿検 査:タンパク2+、糖2+、ケトン体(-)。血液生化学検査値:空腹時血糖200 mg/dL、尿素窒素(BuN) 20 mg/dL、クレアチニン1.0 mg/dL、総コレステロール 277 mg/dL、トリグリセリド250 mg/dL、Na 144 mEq/L、K3 .O mEq/L、Cl 111 mEq/L

この患者の治療薬として適切な薬物の正しいものの 組合せはどれか。
 a カプトプリル
 b トルブタミド
 c スピロノラクトン
 d トリクロルメチアジド
 e 酒石酸メトプロロール
  
  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問188
55歳の男性、1年前から定期健康診断で徐脈を指摘されていた。約1週間前から 数回めまいを感じていたが、今朝、意識消失発作があり救急車で来院した。来 院時、意識清明であったが、めまい感を訴えている。脈拍33/分、血圧118/82 mmHg、心電図で完全房室ブロックが認められた。

この患者の初期治療薬として適切な薬物の正しいも のの組合せはどれか。
 a 硫酸アトロピン
 b 塩酸リドカイン
 c ニトログリセリン
 d 塩酸イソプレナリン(塩酸イソプロテレノール)
 e 塩酸プロプラノロール

  1(a、b)  2(a、d)  3(b、c)  4(c、e)  5(d、e)


問189
ネフローゼ症候群に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 1日の尿タンパク量3.5 g以上が持続する。
 b 低タンパク血症を伴う。
 c 高コレステロール血症になることはまれである。
 d 浮腫を伴う。
 e 小児での発症はまれである。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、c、e)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問190
呼吸器疾患の治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a キシナホ酸サルメテロールは、短時間作動型の吸入アドレナリンβ 2受容体刺激薬で、気管支ぜん息に用いられる。
 b びまん性汎細気管支炎にエリスロマイシンの投与は禁忌である。
 c 気管支ぜん息の長期管理薬として吸入副腎皮質ステロイド製剤を用いる 場合には、吸入後にうがいを実施するよう指導する。
 d サイトメガロウイルスによる肺炎の治療にはガンシクロビルを投与する。
 e 真菌性肺炎にフルコナゾールを用いる場合、シトクロムP450活性阻害による薬物相互作用に注意が必要である。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問191
肝炎ウイルスに関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a A型肝炎ウイルス(HAV)は肝臓内で増殖し、胆汁を介して糞便中に排泄さ れて経口感染を起こす。
 b B型肝炎ウイルス(HBV)の感染経路には、母親から子への母子感染、性 交、医療従事者の針刺し事故などによるものがある。
 c HBe抗原陽性の母親から生まれた新生児はHBV感染の危険性が低いので、 経過観察でよい。
 d HBe抗原陽性からHBe抗原陰性・HBe抗体陽性への移行は、肝炎の活動性が 増加したことを意味する。
 e 日本人のC型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子型はII型(1b)が多いため、イン ターフェロンの治療効果が低い。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問192
過敏性腸症候群に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 便潜血反応が陽性を示すことが診断基準の1つである。
 b 腹痛と便通異常を慢性的に繰り返す。
 c 心理・社会的ストレスが症状を増悪させることがある。
 d 消化管運動の過剰亢進には、抗コリン薬が有効である。
 e サラゾスルファピリジン(スルファサラジン)が治療に用いられる。

  1(a、b、d)  2(a、b、e)  3(.a、c、e)  4(b、c、d)  5(c、d、e)


問193
消化性潰瘍とその治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の長期投与時に見られる潰瘍に対して、 ミソプロストールは用いられない。
 b 十二指腸潰瘍患者では、胃潰瘍患者よりも胃酸分泌が亢進していること が多い。
 c 血液透析中の患者では、アルミニウムを含む制酸剤を投与すべきでない。
 d オメプラゾールの標準的用法は、1日1回投与である。
 e シメチジンは、腎不全患者でも減量の必要はない。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(c、d、e)


問194
貧血とその治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 巨赤芽球性貧血では、鉄の欠乏や吸収障害により赤芽球の分裂障害が生じる。
 b 再生不良性貧血は、小球性低色素性貧血に分類される。
 c 鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能が増加している。
 d ビタミンB12の欠乏による貧血では、手足のしびれなどの特 徴的な神経症状が出現する。
 e 自己免疫性溶血性貧血に対して、副腎皮質ステロイド性薬の投与や脾臓 摘出が行なわれることがある。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問195
播種性血管内凝固症候群(DIC)とその治療に関する記述のうち、正しいものの 組合せはどれか。
 a 原因疾患には、敗血症、悪性腫瘍、劇症肝炎、外傷、熱傷などがある。
 b 血液凝固反応が亢進して微小血管内に血栓が多発するため、多臓器不全 を起こすことがある。
 c 血液の凝固と線溶が繰り返されて、血液凝固因子や血小板が消費される ため、出血傾向が出現する。
 d アンチトロンビンIIIの補充を行なう場合には、ヘパリンナトリウムの投 与を中止しなければならない。
 e メシル酸ガベキサートは、DICを進行させるため投与すべきでない。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問196
慢性骨髄性白血病とその治療薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはど れか。
 a 造血幹細胞移植は治療に用いられない。
 b 多くの患者でフィラデルフィア染色体が検出される。
 c ゲフィチニブが治療に有効である。
 d インターフェロンアルファ製剤の投与により、フィラデルフィア染色体 陽性の白血病細胞が減少または消失することがある。
 e ヒドロキシカルバミド(ヒドロキシ尿素)は、白血病細胞数コントロール の目的で用られることがある。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問197
緑内障の治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a マレイン酸チモロールの全身性副作用を軽減するために、点眼後1~5分 間閉瞼して涙のう部を圧迫させた後、開瞼するよう指導する。
 b マレイン酸チモロールの持続性点眼液は、気管支ぜん息患者にも安全に 使用できる。
 c ラタノプロストは、虹彩に色素沈着を起こすことがある。
 d アセタゾラミドは、毛様体上皮に存在する炭酸脱水酵素を阻害すること により房水産生を抑制して眼圧を低下させる。
 e ピレノキシンの点眼剤が適応となる。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問198
副腎皮質機能亢進症あるいは低下症に関する記述のうち、正しいものの組合せ はどれか。
 a 下垂体以外からのACTH分泌過剰によりクッシング症候群が生じることがある。
 b 副腎皮質機能低下症では、満月様顔貌が生じる。
 c デキサメタゾン抑制試験は、視床下部-下垂体-副腎皮質のネガティブ ・フィードバック機構を応用した検査法である。
 d 副腎皮質機能亢進症では、低血圧、低ナトリウム血症を生じることが多い。
 e 副腎皮質機能不全患者では、強いストレス(手術など)により副腎クリー ゼ(急性副腎皮質不全)を発症することがある。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、c、e)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問199
糖尿病の合併症に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 下肢末端病変として、潰瘍や壊疽が生じる。
 b 腎症では、初期に微量アルブミン尿が出現する。
 c 細小血管障害は末梢神経障害の一因である。
 d ケトアシドーシスでは、呼気にアンモニア臭を伴う。
 e 糖尿病の合併症として網膜症を発症することはまれである。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問200
糖尿病とその治療薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 2型糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法であり、それらのみで十分に 血糖値がコントロールできない場合に経口糖尿病用薬が使用される。
 b 治療目標としては通常、空腹時血糖値を150 mg/dL、食後血糖値を200~ 250 mg/dL、HbA1cを10%以下に設定する。
 c スルホニル尿素薬は、ビグアナイド薬の効果が不十分な場合あるいは副 作用等により継続できない場合に限って使用される。
 d 塩酸ピオグリタゾンはインスリン抵抗性を改善する。

    a b c d
  1 正 正 誤 正
  2 正 誤 誤 正 
  3 誤 誤 正 正 
  4 誤 正 正 誤 
  5 正 誤 正 誤 


問201
帯状疱疹とその治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 免疫低下状態の患者で発症することがある。
 b 単純ヘルペスウイルスによる感染症である。
 c 塩酸バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグである。
 d 重症の腎障害患者では、アシクロビルの投与間隔を延長するなどの注意 が必要である。
 e アシクロビルを経口投与で用いる場合、成人には通常1日1回投与する。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問202
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症治療または局所のMRSA除菌に用い る薬物について、正しいものの組合せはどれか。
 a リネゾリド
 b 塩酸バンコマイシン
 c ムピロシンカルシウム水和物
 d ベンジルペニシリンカリウム 
 e テイコプラニン

  1(a、b、d)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、c、e)  5(c、d、e)


問203
肺結核症とその治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a ツベルクリン反応陽性は、必ずしも発症を意味するものではない。
 b 結核菌に対する化学療法は、耐性菌出現防止のため、併用療法が原則である。
 c 硫酸ストレプトマイシンは、経口投与で用いられる。
 d リファンピシンは、薬物代謝酵素を誘導して薬物相互作用の原因となる ことがある。
 e 塩酸エタンブトールを服用中の患者では、聴力検査を定期的に行うべき である。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、c、e)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問204
尿路感染症に関する記述のうち、正しいものの組合 せはどれか。
 a 膀胱炎の症状として残尿感が出現すること は、まれである。
 b 急性単純性下部尿路感染症の原因菌は、大腸 菌が大部分を占める。
 c 一般に、男性の方が女性よりも膀胱炎を起こ しやすい。
 d 急性腎孟腎炎では、発熱と腰背部痛が出現す ることが多い。

  1(a、b)  2(a、c)  3(a、d)  4(b、c)   5(b、d)  6(c、d)


問205
抗悪性腫瘍薬に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 抗悪性腫瘍薬は、一般に増殖速度が速い腫瘍に効果的に作用する。
 b トレチノインは、急性前骨髄性白血病の分化誘導療法に用いられる。
 c 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、抗悪性腫瘍薬による白血球減少には 無効である。
 d 寛解導入療法では、単剤の抗悪性腫瘍薬使用が一般的である。
 e 抗悪性腫瘍薬による嘔吐には、ヒスタミンH2受容体遮断薬の 投与が第一選択である。

  1(a、b)  2(a、c)  3(b、d)  4(c、e)  5(d、e)


問206
次の医薬品と疾病の対応について、投与が禁忌となっているものの組合せはど れか。

a 塩酸カルテオロール 緑内障
b 塩酸イミプラミン 緑内障
c 塩酸プロプラノロール 気管支ぜん息
d マレイン酸エナラプリル 気管支ぜん息
e インスリン 重症感染症を合併した糖尿病
f グリベンクラミド 重症感染症を合併した糖尿病


  1(a、c、e)  2(a、c、f)  3(a、d、e)  4(b、c、f)  5(b、d、 e)  6(b、d、f)


問207
アルツハイマー型老年痴呆とその治療薬に関する記述のうち、正しいものの組 合せはどれか。
 a 初期に見られる精神神経症状は記憶、記銘力の低下である。
 b 初期段階から、単なる加齢現象との鑑別は容易である。
 c 中枢神経組織にアミロイドβタンパク質の蓄積が見られる。
 d 塩酸ドネペジルはアミロイドβタンパク質の産生阻害薬である。
 e 画像診断では、海馬部分の萎縮がしぱしば認められる。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、c、e)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問208-210
下記の症例の臨床経過を読んで、問に答えよ。

 現病歴 50歳の男性、15年前に検診で尿タンパクを指摘され、精査により慢 性糸球体腎炎と診断された。5年ほど前から高血圧も指摘されるようになっ た。
     最近、排尿時にいきまないと尿が出にくく、夜間に尿意で何度も目 が覚めるようになったため来院した。現在、薬物治療は受けていない。
 既往歴 気管支ぜん息
 家族歴 母 高血圧症、脳血管障害にて死亡(70才)
 嗜好品 喫煙 1日20本、アルコール 1日ビール350mL
 身体所見 身長160 cm、体重56 kg、血圧165/95 mmHg、眼底所見正常、胸腹 部異常なし、直腸指診にて前立腺肥大あり、心電図正常、胸部X線:心胸郭比 (CTR) 45%、肺野正常
 臨床検査値(括弧内の値は基準値)
     白血球数6000/μL (4500~9000)、血色素量15 g/dL (13~18)、血 小板数25×104/μL (13~40×104)、尿素窒素(BUN) 30 mg/dL (8~20)、血清クレアチニン1.4 mg/dL (0.7~1.5)、総コレステロー ル300 mg/dL、HDLコレステロール30 mg/dL、トリグリセリド310 mg/dL、アラ ニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) 20 IU/L (6~43)、アスパラギン酸アミ ノトランスフェラーゼ(AST) 25 IU/L (11~40)、γ-グルタミルトランスペプ チダーゼ (γ-GTPまたはγ-GT) 40 IU/L (50以下)、空腹時血糖100 mg/dL、グ リコヘモグロビン(HbA1c) 5.0%、前立腺特異抗原1.0 ng/mL (4.0以下)、尿タンパク陽性

問208
この患者の臨床背景と病態に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a Cockcroft-Gault法により推定した患者の入院時のクレアチニンクリアラ ンス値は約50 mL/minである。
 b 尿タンパク陽性は、糖尿病性腎症による可能性が高い。
 c この患者の体格指数〔body mass index:体重(kg)/身長 (m)2〕は約22である。
 d 病歴と検査値から、アルコール性肝障害が疑われる。
 e 検査値から、高脂血症が存在するといえる。

  1(a、b、c)  2(a、c、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、e)


問209
この患者の高血圧治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 腎障害があるので、降圧目標値は腎機能正常患者よりも低く設定するべ きである。
 b アンギオテンシン変換酵素阻害薬は、治療薬の候補の一つとして推奨される。
 c 患者の病歴と血清脂質値から考えて、アドレナリンβ受容体遮断薬は最 良の降圧薬である。
 d 前立腺肥大症を合併しているので、Ca2+チャネル遮断薬を用 いるべきではない。
 e アドレナリンα1受容体遮断薬が治療薬の候補の一つとして 推奨される。

  1(a、b、e)  2(a、c、d)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、c、e)


問210
一般に、腎機能がクレアチニンクリアランスとして10 mL/min程度まで低下し た患者(70 kg)において、患者の全身クリアランスが健常人(70 kg)の50%以下 に低下すると予想される薬物の正しい組合せはどれか。

薬物名 F(%) CL(L/h) Vd(L) fu Ae(%)
a
ジアゼパム 100 1.6 77 0.02 1以下
b
アテノロール 56 8.4 67 0.95 94
c
塩酸プロプラノロール 26 67 300 0.13 0.5以下
d
ベシル酸アムロジピン 74 25 1120 0.07 10
e
硫酸ゲンタマイシン 5.4 22 0.90 90以上


 F:経ロバイオアベイラビリティ(経口投与が行われない薬物については一で 示した)、CL:全身クリアランス、Vd:分布容積、fu:血漿中遊離形分率、 Ae:未変化体尿中排泄率

  1(a、b)  2(a、c)  3(b、e)  4(c、d)  5(d、e)


問211
医薬品に関連した医療事故防止に関する記述のうち、正しいものの組合せはど れか。
 a 調剤薬の鑑査は、調剤を熟知し、疾患や併用薬などの患者背景と医薬品 情報を統合して処方内容の妥当性を判断できる者が行う。
 b 散剤鑑査システムや自動錠剤分包システムなどのコンピュータシステム を導入している場合には、調剤鑑査者は処方鑑査を行えばよい。
 c 処方オーダリングシステムにおける処方薬の誤入力を防ぐには、医薬品 名の先頭2文字カナ入力による検索で充分である。
 d 散剤の装置びんへの充填ミスを防止するためには、複数人による確認が 有効である。

  1(a、b)  2(a、c)  3(a、d)  4(b、c)  5(b、d)  6(c、d)


問212
病院における「チーム医療」に関する記述の正誤について、正しい組合せはど れか。
 a クリニカルパスは経済を優先した医療体系で、根拠に基づいた医療の実 践にはならない。
 b クリニカルパスの利点として、患者への診療内容の開示と治療目標の設 定による患者と医療スタッフの連携向上があげられる。
 c Infection Control Team (ICT)における薬剤師の活動の一つとして、医 療スタッフに対する抗生物質の適正使用の指導があげられる。
 d 緩和ケアにおいては、患者の痛みや諸症状を管理し、精神面の問題解決 も支援する。

    a b c d
  1 誤 正 誤 正
  2 誤 正 正 正
  3 正 誤 正 正
  4 正 誤 誤 正
  5 誤 正 正 誤 


問213
麻薬および疼痛緩和療法に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 鎮痛補助薬としてカルバマゼピンやアミトリプチリンが用いられる。
 b フェンタニル貼付剤は疼痛緩和療法の第一選択薬である。
 c モルヒネ製剤は中等度から高度の痛みに対して用いられる。
 d モルヒネを経口的に投与する際、効果を最大限に発揮させるためには制 吐薬や緩下薬を併用してはいけない。
 e 痛みの強さを把握するためには、visual analog scale (VAS)やface scaleなどが用いられる。

  1(a、b、d)  2(a、b、e)  3(a、c、e)  4(b、c、d)  5(c、d、e)


問214
在宅患者訪問薬剤管理指導に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 病院薬剤師と保険薬局薬剤師のいずれもが行い得る管理指導であり、双 方の連携が望ましい。
 b 介護保険制度における在宅医療サービスであり、医療保険制度は適用さ れない。
 c 薬剤管理指導記録は、最後の記入日から最低3年間保存する。
 d 麻薬に関する指導を行っても指導料は加算されない。

    a b c d
  1 正 誤 誤 正 
  2 誤 正 正 誤 
  3 正 誤 正 誤 
  4 正 誤 正 正 
  5 誤 正 誤 正 


問215
治験に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 開発業務受託機関(CRO)は、治験依頼者の委託により、患者のインフォー ムドコンセントの取得、モニタリング業務を行う。
 b 治験に用いる薬は、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に 準拠して製造されたものである。
 c 治験審査委員会の委員には、実施医療機関と利害関係を有しない者を加 えなければならない。
 d 治験施設支援機関(SMO)で行う業務は、治験実施医療機関側に属する業務 である。
 e 中止となった治験の記録は、その時点で、保存の義務が消滅する。

  1(a、b、d)  2(a、b、e)  3(a、c、e)  4(b、c、d)  5(c、d、e)


問216
成人患者に対する次の処方(a~e)のうち、標準的な用法・用量の処方の組合せ はどれか。

処方a
アテノロール錠 50 mg
     1日1回 朝食後
1錠
処方b
フロセミド錠 20 mg                   スピロノラクトン錠 25 mg
     1日2回 朝昼食後
2錠
2錠
処方c
トリアゾラム錠 0.25 mg
     1日1回 朝食後
1錠
処方d
ボグリボース錠 0.2 mg
     1日3回 毎食後
3錠
処方e
エチドロン酸ニナトリウム錠 200 mg 
     1日1回 朝食後
1錠

  1(a、b)  2(a、d)  3(a、e)  4(b、c)  5(b、d)  6(c、e)


問217
薬物の安定性や配合変化に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 注射剤配合時のpH変化による溶解度の低下は、その薬物の析出や混濁の 原因となる。
 b 非水性溶剤を用いて溶解性を高めた注射剤は、水性溶剤で希釈しても主 薬は析出しにくい。
 c 一般に、光による分解では可視光線よりも紫外線の方が、また人工の光 よりも直射日光の方が強い影響を与える。
 d 注射剤配合時の薬物の分解は化学構造に影響されるところが大きく、分 解速度は濃度によらず一定である。
 e 散剤の配合において、アスピリンと炭酸水素ナトリウムの組合せは配合 不適であり、大黄末と酸化マグネシウムの組合せは配合注意である。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、c、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問218
薬物の相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a アロプリノールは、メルカプトプリンの代謝を抑制してその血中濃度を 上昇させ、骨髄抑制作用を増強することがある。
 b 塩酸ミノサイクリンは、ケイ酸マグネシウムとキレートを作るが、他の 金属カチオン含有制酸薬とは併用してさしつかえない。
 c リトナビルは、エスタゾラムの代謝を阻害し血中濃度を上昇させ、呼吸 抑制を起こすことがある。
 d セイヨウオトギリソウは、CYP3A4を誘導し、タクロリムス水和物やシク ロスポリンの曲中濃度を低下させることがある。
 e メロペネム三水和物は、フェニトインの代謝を促進して血中濃度を低下 させ、痙れん発作を誘発させることがある。

    a b c d e
  1 正 誤 誤 正 正
  2 正 誤 正 正 誤 
  3 誤 正 正 誤 正
  4 正 正 誤 正 誤
  5 誤 誤 正 誤 正 


問219
治験コーディネーター(CRC)の職種および業務・役割に関する記述のうち、正 しいものの組合せはどれか。
 a CRCとして業務を行うことができるのは、治験実施施設の薬剤師、看護師 や臨床検査技師などのコメディカルスタッフに限られる。
 b 治験審査委員会事務局担当を兼務する薬剤師、看護師や臨床検査技師は 当該施設のCRCとして業務を行うことはできない。
 c CRCの主要業務は、被験者のケア、治験責任(分担)医師への支援、依頼者 によるモニタリングと監査への対応・協力および被験者・医師・依頼者間の調 整である。
 d CRCは、治験実施の支援だけでなく、市販後臨床試験や医師主導の臨床試 験においても支援することが求められている。

  1(a、b)  2(a、c)  3(a、d)  4(b、c)  5(b、d)  6(c、d)


問220
次の処方についての疑義照会および服薬指導に関する記述のうち、正しいもの の組合せはどれか。

Rp1)
リファンピシンカプセル 150 mg
イソニアジド錠 100 mg
塩酸エタンブトール錠 250 mg
  1日1回 朝食後
3カプセル
3錠
3錠
30日分
Rp2)
ピラジナミド末
塩酸ピリドキシン錠 30 mg
  1日2回 朝夕食後
1.5 g
2錠
30日分


 a リファンピシンはピラジナミドと併用禁忌であると照会した。
 b リファンピシンは朝食前服用ではないかと照会した。
 c 塩酸エタンブトールは塩酸ピリドキシンと併用禁忌であると照会した。
 d イソニアジドやピラジナミドは肝障害を起こしやすいので、その初期症 状を説明して患者に注意を促した。
 e 塩酸ピリドキシンは視神経炎、末梢神経炎の防止のための処方であるこ とを患者に伝えた。

  1(a、b、c)  2(a、b、d)  3(a、d、e)  4(b、c、e)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問221
調剤時における疑義の対処方法に関する記述のうち、正しいものの組合せはど れか。
 a レボフロキサシンと酸化マグネシウムが食後服用と処方されていたの で、薬剤師の判断で酸化マグネシウムの服用時間を遅らせるよう薬袋に記載し た。
 b オメプラゾールの腸溶錠を粉砕する指示が記載されていたので、処方医 に疑義照会し、他の薬剤に変更できないか問い合わせた。
 c 10%リドカ イン注射液が「静注」指示されていたので、処方医に適切な希釈液に混和して 「点滴静注」の指示に変更するよう依頼した。
 d 疑義照会により処方内容に変更が生じたので、赤のボールペンを用いて 二本線で抹消し、正しい内容を記載した。
 e 処方内容に疑義が生じたが、処方医が不在だったので、患者本人に確認 し了解後調剤した。

  1(a、b、c)  2(a、c、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、e)


問222
処方せんに基づいて調剤された薬剤の容器又は被包(薬袋・薬札)に記載しなけ ればならない事項(○印)について、正しい組合せはどれか。

1 2 3 4 5
患者氏名
患者の住所
用 法
用 量
年 齢
調剤年月日
医師の氏名
調剤した薬剤師の氏名
調剤した薬局又は病院・ 診療所の名称及び所在地



問223
次の処方(Rp1~Rp3)の調剤方法に関する記述の正誤について、正しい組合せは どれか。ただし、1包が0.5 gとなるように乳糖を加えるものとする。

Rp1)
バルプロ酸ナトリウム40%細粒
 1日2回 朝夕食後
360 mg (成分量として)
30日分
Rp2)
カルバマゼピン50%細粒
 1日2回 朝夕食後
180 mg (成分量として)
30日分
Rp3)
バクロフェン錠 5 mg
 1日2回 朝夕食後
1錠(粉砕)
30日分
                                                           
 a バルプロ酸ナトリウム40%細粒は1日量0.9 gと計算した。
 b カルバマゼピン50%細粒は全量1.08 gを秤量した。
 c Rp2)では乳糖を1包あたり0.14 g加えた。
 d Rp3)では全60錠を粉砕し、乳糖を加えて1包を0.5 gとした。

    a b c d
  1 誤 正 正 正 
  2 正 誤 誤 正 
  3 誤 誤 正 誤 
  4 正 誤 誤 誤 
  5 正 正 誤 正


問224
注射剤および輸液の調製に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a フェニトインナトリウム注射液250 mg (5 mL)の希釈に5%ブドウ糖注射液 100 mLを使用すると、前者が析出する可能性がある。
 b 注射剤の計量・混合調製後の鑑査では、使用した注射剤の空アンプル・ 空バイアルとの照合の上、異物・沈殿・混濁および色調など外観変化の有無に ついて慎重に観察する。
 c 高カロリー輸液の調製はクリーンベンチ内で行い、調製したものは高圧 蒸気滅菌すべきである。
 d 予測尿量、呼吸・発汗に伴う蒸散・排泄水分量、体内代謝反応による水 分産生量などを考慮し、1日の輸液量を約800~1,000 mLに調節すべきである。

  1(a、b)  2(a、c)  3(a、d)  4(b、c)  5(b、d)  6(c、d)


問225
低カリウム血症の患者に対してカリウムの補給のため、7.46%補正用塩化カリ ウム液(20 mL) 1アンプルを5%ブドウ糖注射液500 mLに混合し、1回分として調 製した。この場合補給されるカリウム量は何mEqとなるか。最も近い値を選 べ。
ただし、K、Clの原子量はそれぞれ39.0および35.5とする。

  1 2  2 10  3 20  4 40  5 750


問226
高カロリー輸液に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 成人は通常1日約2,000 kcalを必要とする。
 b 各栄養素の1 gあたりのカロリーは、糖質4 kcal、脂肪9 kcal、タンパク 質(アミノ酸)9 kcalとして計算する。
 c ビタミンB1を投与せずに高カロリー輸液療法を施行すると乳 酸アシドーシスをきたすことがある。
 d 肝不全時には、Fischer比 (分 岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)の低いアミノ酸製剤が使用される。
 e ビタミンA、D、Kは光に不安定なので配合は投与直前に行い、原則的に遮 光カバーの使用が必要である。

  1(a、b、c)  2(a、c、e)  3(a、d、e)  4(b、c、d)  5(b、d、 e)  6(c、d、e)


問227
整形外科に入院した80歳の女性患者を薬剤師が初回面談した。薬剤師は、服薬 状況の聞き取りおよび残薬数から判断してカプセル剤間で服用間違いをしてい たことに気づき、患者からは「胃のあたりがおかしく、むかむかして気持ちが 悪い」との訴えを聞いた。
<持参薬の処方内容>

Rp1)
テオフィリン徐放剤カプセル 200 mg
塩酸ベネキサートベータデクスカ プセル 200 mg
 1日2回 朝食後・就寝前
2カプセル
4カプセル
Rp2)
フェロジピン錠 2.5 mg
ファモチジン錠10 mg
 1日2回 朝食後・夕食後
2錠
2錠


薬剤師が行うべきアプローチとして正しいものの組合せはどれか。
 a 主治医に聞き取り結果を報告し、この患者を消化器科医師に紹介して診察してもらうよう提案する。
 b 主治医に薬剤服用個数の間違いを報告の上、とりあえず問題となるテオ フィリンの休薬を提案する。
 c 主治医にフェロジピンの血中濃度測定依頼を出してもらい、濃度モニタ リングする。
 d 消化性潰瘍が進行している可能性が考えられるので、主治医に塩酸ベネ キサートベータデクスの増量のための処方追加とフェロジピンの休薬を提案す る。
 e 患者の服用間違いを回避するために、主治医と相談のうえ1回量包装で対 応する。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問228~229
次の症例は、眼科病棟で服薬指導を行っている緑内障患者に関するものであ る。以下の問に答えよ。
 「症例」
原発性閉塞隅角緑内障患者(男性67歳)に対して、過去1年間、塩酸ピロカルピ ン点眼液、マレイン酸チモロール点眼液による治療が行われていた。また、同 患者は労作性狭心症を合併しており、最近の半年間、塩酸ペラパミルが経口投 与されていた。服薬指導の際、患者より「息苦しい」との訴えがあり、不規則 な徐脈(46拍/分)が認められた。塩酸ベラパミルが〔  〕に変更された結 果、48時間以内に73拍/分となった。

問228
〔  〕に入れるぺき薬物はどれか。

 1 塩酸ジルチアゼム  2 マレイン酸エナ ラプリル  3 ジゴキシン 
 4 塩酸プロプラノロール  5 ニフェジピン


問229
上記症例について、SOAP形式で薬剤管理指導記録簿に記入する際の記入内容の 正誤について、正しい組合せはどれか。
 a Sとはsubjective dataの略で、上記症例では「息苦しい」など、患者の 訴えや質問事項を記載する。
 b Oとはobjective dataの略で、上記症例では「徐脈(46拍/分)」など、客 観的データを記載する。
 c Aとはactionの略で、「患者の訴えに基づく医師との協議」など、薬剤師 の行動を記載する。
 d Pとはplanの略で、上記症例では「塩酸ベラパミルの代わりの薬物名」な ど、問題解決のための今後の計画を記載する。

    a b c d
  1 正 正 誤 正
  2 正 正 正 正 
  3 誤 正 正 誤 
  4 誤 誤 正 誤 
  5 正 誤 誤 正 


問230
薬剤管理指導業務に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 硫酸モルヒネ徐放錠で疼痛管理されていた患者から突然の痛み増強の訴 えがあったので、硫酸モルヒネ徐放錠の臨時追加投与の必要性を医師に伝え た。
 b がん疼痛治療としてモルヒネの服用を開始した患者が吐き気を訴えたの で、メトクロプラミドの投与の必要性を医師に伝えた。
 c ニトログリセリンの舌下投与に際しては、起立性低血圧を起こすことが あるので椅子に腰掛けて服用し、急に立ち上がらないよう患者に説明した。
 d グリベンクラミドの服用を忘れた患者に対し、食後1時間以内であれば直 ちに服用し、それ以降であれば、その回の服用を中止し次回より正しく服用す るよう説明した。
 e 骨粗しょう症の患者にビスホスホネート製剤が処方されたので、カルシ ウムの多い牛乳での服用を患者に勧めた。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(b、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問231
医薬品とその服薬説明内容に関する記述のうち、正しいものの組合わせはどれか。
 a 塩酸パロキセチン水和物-----寝つきを良くする薬です。効果は短いです が、十分睡眠はとれます。
 b フルニトラセパム-----寝つきを良くする薬です。夜中や朝早くに目が覚 めるなどで困っている人の治療に用います。
 c トリアゾラム-----イライラ感や不安感を楽にしてくれます。フラフラす ることがあります。
 d 塩酸ミアンセリン-----憂うつな気分や落ち込んでいる気分を改善する効果があります。口が渇くことがあります。
 e 炭酸リチウム-----気分の過度の高まりや、それによる行動を和らげる薬 です。また、気分の変動の幅を少なくしたり、病状の再発予防効果がありま す。

  1(a、b、c)  2(a、b、e)  3(a、c、d)  4(b、d、e)  5(c、d、e)


問232
医薬品情報に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 医療用医薬品添付文書には、医薬品を評価するために必要な情報はすべ て記載されている。
 b 医療用医薬品製品情報概要は、医薬品インタビューフォームより抽出し たものであるため信頼性が高く記載された情報は評価する必要がない。
 c 収集した医薬品情報は、あくまでも正確に伝えるべきものであり、編集 ・加工は一切してはならない。
 d 緊急安全性情報は、対象医薬品を使用している医師にのみ迅速に情報提 供すればよい。

    a b c d
  1 正 誤 誤 誤 
  2 誤 正 誤 誤 
  3 誤 誤 正 誤 
  4 誤 誤 誤 正
  5 誤 誤 誤 誤 


問233
臨床試験及び臨床研究に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 無作為化試験では被験者、担当医師ともに、いずれが試験薬か対照薬か 知らされない。
 b 少数の患者を対象とした試験では、群間の差を実証できない危険性がある。
 c 母集団の分布型を特定のものに仮定し、それに基づいて統計的仮説検定 を行うことをパラメトリック検定といい、t検定や分散分析がある。
 d データの分布特性を表す指標として、全部のデータの和を個数で割った 値を中央値と呼ぶ。
 e 独立して行われた複数の同種の研究を統計的に総合評価するのをコホー ト研究と呼び、疫学の重要な手法となっている。

    a b c d e
  1 正 誤 正 誤 誤
  2 正 誤 誤 正 誤
  3 誤 正 誤 誤 正 
  4 誤 誤 正 誤 正 
  5 誤 正 正 誤 誤


問234
医薬品の管理に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 治験薬管理者は原則として薬剤師であり、実施されるすべての治験薬を 医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)に従い、管理・保管しなければならない。
 b 向精神薬は、その乱用の危険性および医療上の有用性の程度により、第 一種から第三種まで3種類に分類され、その規制内容はそれぞれ異なる。
 c 劇薬は特に厳重な管理を必要とし、他の薬剤と区別して鍵のかかる保管 庫に保管しなければならない。
 d 医薬品の病棟への定数配置方式とは、一定の品目を一定数量配置し、使 用分の医薬品を補充する方法である。
 e 日本薬局方通則では、医薬品管理の温度については「標準温度は20℃、 常温は15~25℃、冷所は別に規定するもののほか5℃以下の場所とする」と定 義されている。

  1(a、b、d)  2(a、b、e)  3(a、c、e)  4(b、c、d)  5(c、d、e)


問235
消毒薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。
 1 塩化ベンゼトニウムは、消毒用エタノールと同様、結核菌、緑膿菌のみ ならず一部のウイルスにも有効である。
 2 ヨード製剤は強力な殺菌効果を持っているが、皮膚への刺激が強いた め、医療器具の消毒に限られる。
 3 フェノールやクレゾールは、下水道への廃棄が禁じられているため、使 用不可となっている。
 4 消毒薬自体が病原菌で汚染される可能性は低いので、量が少なくなった ら継ぎ足して用いることができる。
 5 グルタラールは、医療器具の消毒に用いられるが、人体には使用できない。


問236
血液製剤に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 人血清アルブミンは特定生物由来製品なので、薬局又は病院の管理者は 厚生労働省令に定める事項を記録して20年間保存する必要がある。
 b 人血小板濃厚液の有効期間は、4~6℃保存で採血後21日間である。
 c 新鮮凍結人血漿は、アルブミンの補充を目的とした製剤なので血液凝固 因子の補充には適さない。
 d 輸血用血液への放射線照射は、移植片対 宿主病 (GVHD) の原因となる。リンパ球の増殖を抑制するために行われる。

    a b c d
  1 正 正 誤 正
  2 正 誤 誤 正 
  3 誤 正 正 正 
  4 正 誤 正 誤 
  5 誤 正 正 誤 


問237-240
患者K.M.(男性55歳)は、高コレステロール血症のため、近医(H医院)より処方 Aの薬を投薬されていた。ところが、激しい胃痛のためI総合病院を受診した結 果、処方Bが追加された。7日後、「筋肉の痛みと褐色尿」を訴えてかかりつけ 薬局に来たので、薬剤師はこの患者に対して、直ちにI総合病院を受診するよ うに指導した。
この臨床例に関する以下の問に答えよ。
 

処方A
1)
シンバスタチン錠 10 mg
 1日2回 朝夕食後
2錠
30日分
2)
コレスチラミン
酸化マグネシウム
 1日3回 毎食後
9 g
1.5g
30日分
処方B
オメプラゾール錠 20 mg
クラリスロマイシン錠 200 mg
アモキシシリンカプセル 250 mg
 1日2回 朝夕食後
2錠
4錠
6カプセル
7日分

                                                                                        問237
処方Aにおける酸化マグネシウムの処方意図に関する記述のうち、正しいもの はどれか。

 1 コレステロールと結合してコレステロールの消化管吸収を抑制する。
 2 コレスチラミンによって吸収が抑制されるマグネシウムを補充する。
 3 消化管内の塩基性を高めてシンバスタチンの消化管吸収を促進する。
 4 緩下作用によりコレスチラミンによる便秘を抑割する。
 5 緩下作用によりシンバスタチンによる便秘を抑制する。


問238
この患者がI総合病院で受けた診断名は何と考えられるか。

 1 薬剤性胃潰瘍
 2 アニサキスによる胃炎
 3 胃癌
 4 胃アトニー
 5 ヘリコバクター・ピロリによる胃潰瘍


問239
この患者に起こった「筋肉の痛みと褐色尿」から疑われる疾患名、診断上、最 も有力な手がかりとなる生化学検査項目および考えられる発症の誘因の正しい 組合せはどれか。

疾患名 検査項目 発症誘因
1
急性腎炎 血清クレアチニン シンバスタチンの投与
2
横紋筋融解症 血清クレアチニン シンバスタチンとアモキシシリンの併用
3
筋無力症 血清クレアチンキナーゼ 酸化マグネシウムとオメプラゾールの併用
4
横紋筋融解症 血清クレアチンキナーゼ シンバスタチンとクラリスロマイシン の併用
5
急性腎炎 血液尿素窒素 アモキシシリンの投与



問240
この症例において医師 (H医院、I 総合病院)に対する薬剤師の提案 として、正しいものはどれか。
 1 高コレステロール血症の進行より胃障害の改善を優先すべきであるた め、処方Aを中止して、処方Bだけ継続する。
 2 処方Bが丁度1クール終わったところなので、処方Aも中止してしばらく様 子を見る。
 3 処方Aのシンバスタチンをより副作用の少ないベザフィブラートに変更する。
 4 処方Bのクラリスロマイシンを中止してその他を継続投与する。
 5 処方Bのオメプラゾールをより強力な制酸作用を有するシメチジンに変更 する。