医療薬学Ⅰ
問121.次の薬物 - 臨床適用 - 薬理試験法の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。
薬物 |
臨床適用 |
薬理試験法 | |||
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ジクロフェナクナトリウム |
----- |
痛み |
----- |
酢酸ライジング試験○ |
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アセトアミノフェン |
----- |
発熱 |
----- |
カラゲニン浮腫法× |
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アセトアミノフェン |
----- |
発熱 |
----- |
体温測定 |
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ジアゼパム |
----- |
神経症 |
----- |
条件回避反応試験× |
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ジアゼパム |
----- |
神経症 |
----- |
スキナーボックス法 |
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エトスクシミド |
----- |
欠神発作 |
----- |
ペンテトラゾール誘発痙れん法○ |
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塩酸クロミプラミン |
----- |
うつ病 |
----- |
レセルピン誘発眼瞼下垂試験○ |
問122.次の薬理作用と薬物受容体・情報伝達系の対応について、正しいものの組合せはどれか。
薬理作用 |
薬物受容体・情報伝達系 | ||
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塩酸ドパミンの強心作用 |
----- |
アドレナリンβ1受容体刺激によるGsたん白質の活性化○ |
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塩酸クロニジンの降圧作用 |
----- |
アドレナリンα2受容体遮断によるGiたん白質の不活性化 |
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塩酸クロニジンの降圧作用 |
----- |
アドレナリンα2受容体刺激によるGiたん白質の活性化 |
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臭化ブチルスコポラミンの鎮痙作用 |
----- |
ムスカリンM3受容体遮断によるGqたん白質の活性化の阻害○ |
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メシル酸ブロモクリプチンの抗パーキンソン作用 |
----- |
ドパミンD2受容体刺激によるGiたん白質の活性化○ |
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バクロフェンの中枢性筋弛緩作用 |
----- |
GABAA受容体刺激によるCl-チャネル開口 |
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バクロフェンの中枢性筋弛緩作用 |
----- |
GABAB受容体刺激によるK+チャネル開口 |
問123.次の薬物 - 影響を受ける酵素 - 発現効果に関する組合せのうち、正しいものはどれか。
薬物 |
酵素 |
発現効果 | |||
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クエン酸シルデナフィル |
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ホスホジエステラーゼ5 |
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陰茎海綿体弛緩増強○ |
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ワルファリンカリウム |
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ビタミンKエポキシド還元酵素 |
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血液凝固促進× |
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ワルファリンカリウム |
----- |
ビタミンKエポキシド還元酵素 |
----- |
血液凝固阻止 |
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アルテプラーゼ |
----- |
プラスミン |
----- |
抗線溶× |
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アルテプラーゼ |
----- |
プラスミノーゲン |
----- |
線溶 |
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アカルボース |
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アルドース還元酵素× |
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ソルビトール蓄積阻害× |
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アカルボース |
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α-グルコシダーゼ阻害薬 |
----- |
食後過血糖抑制 |
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硝酸イソソルビド |
----- |
グアニル酸シクラーゼ |
----- |
血管拡張○ |
問124.下記のグラフは、モルモット回腸小片のアセチルコリンによる収縮反応の濃度-反応曲線を示している。薬物Aと薬物B自体には回腸収縮作用はない。この実験に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a アセチルコリンのpD2値は、6.O~7.Oの間にある。○
b 薬物Aは、ムスカリン受容体において、アセチルコリンに対して競合的拮抗を示す。○
c 薬物AのpA2値は、8.0より大きいことが推定できる。○
d 薬物BのpA2値は、7.0より大きいことが推定できる。×
問125.アドレナリン受容体遮断薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a アテノロールはβ1受容体に特異性が高いが、気管支ぜん息をもつ循環器疾患患者の治療には慎重に用いる。○
b 塩酸プラゾシンは、シナプス前膜β1受容体を特異的に遮断することによって、心機能抑制作用を示す。×
e 塩酸ラベタロールは、α、β受容体遮断薬であり、気管支ぜん息の治療に用いられる。×
問126.コリンエステラーゼに作用する薬物に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 有機リン化合物のサリンやパラチオンなどは、強いコリンエステラーゼ活性化作用をもつ。×
c 塩化ベタネコールは、コリンエステラーゼの作用を受けやすく、治療薬として用いられない。×
e 臭化ジスチグミンは、シュレム管を圧迫閉塞させるので、緑内障がある患者には用いられない。×
問127.麻酔薬及び麻酔併用薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 全身麻酔薬は、延髄機能の抑制に先だって大脳皮質や脊髄を抑制するものが望ましい。○
b 麻酔時に塩酸モルヒネを併用すると、モルヒネの動眼神経核(第III脳神経)の遮断作用により散瞳の増大が認められる。×
d 神経遮断性麻酔には、短時間作用型鎮痛薬のフェンタニルとブチロフェノン系神経遮断薬のトロペリドールを併用する。○
e セボフルランは、ハロタンより心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用が強い。×
問128.向精神薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a リスペリドンは、セロトニン5-HT2受容体及びドパミンD2受容体の遮断作用を有する精神分裂病治療薬である。○
b 塩酸ミアンセリンは四環系抗うつ薬であり、ドパミン、セロトニンなどのモノアミンの再取り込みを阻害する作用が強い。×
d 炭酸リチウムは、A型モノアミン酸化酵素(MAOA)を阻害するので、抗そう病薬として用いられる。×
問129.パーキンソン病治療薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 経口投与されたレボドパは、大部分脳外で代謝されるので、カルビドパの併用が有効である。○
b
A型モノアミン酸化酵素(MAOA)阻害薬である塩酸セレギリンが有効である。×
d 末梢性抗コリン薬である臭化メチルアトロピンは初期のパーキンソン病に用いられる。×
問130.次の薬物 - 薬理作用 - 適応の対応のうち、正しいものの組合せはどれか。
薬物 |
薬理作用 |
適応 | |||
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塩酸オンダンセトロン |
----- |
セロトニン5-HT3 受容体遮断 |
----- |
抗悪性腫瘍薬による悪心・嘔吐○ |
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ロサルタンカリウム |
----- |
アンギオテンシン II 受容体遮断 |
----- |
高血圧症○ |
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ベラプロストナトリウム |
----- |
プロスタサイクリン受容体遮断× |
----- |
慢性動脈閉塞症 |
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ベラプロストナトリウム |
----- |
プロスタサイクリン受容体刺激 |
----- |
慢性動脈閉塞症 |
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セラトロダスト |
----- |
トロンボキサンA2受容体刺激× |
----- |
気管支ぜん息 |
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セラトロダスト |
----- |
トロンボキサンA2受容体遮断 |
----- |
気管支ぜん息 |
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塩酸エピナスチン |
----- |
ヒスタミンH1受容体遮断 |
----- |
じんま疹○ |
問131.アレルギー性鼻炎に用いられる薬物とその薬理作用の対応の正誤について、正しい組合せはどれか。
薬物 |
薬理作用 | ||
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マレイン酸クロルフェニラミン |
------ |
ヒスタミンH1受容体遮断作用によってくしゃみも抑制される。○ |
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臭化フルトロピウム |
------ |
抗コリン作用に基づく血管透過性抑制作用により水性鼻漏に有効である。 |
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臭化フルトロピウム |
------ |
抗コリン作用に基づく鼻腺刺激抑制作用により鼻漏に有効である。 |
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塩酸ナファゾリン |
------ |
アドレナリンα1受容体刺激を介する鼻粘膜の血管収縮により鼻閉に有効である。○ |
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フマル酸ケトチフェン |
------ |
リンパ球からのサイトカイン遊離抑制作用により鼻炎の予防に有効である。 |
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フマル酸ケトチフェン |
------ |
ケミカルメディエーター遊離抑制作用により鼻炎の予防に有効である。 |
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プロピオン酸ベクロメタゾン |
------ |
鼻腔内吸入により局所的な強い抗鼻炎効果がみられる。○ |
問132.ニトログリセリンで代表される亜硝酸薬の作用のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 総末梢血管抵抗を減少させる。○
b 脳血管は拡張しない。×
d 静脈拡張作用は弱い。×
問133.Ca2+チャネル遮断薬についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 構造が全く異なっても、同じ血管平滑筋や心筋のL型Ca2+チャネルに作用する。○
b 血管平滑筋の膜電位が心室筋と比べ浅いことが、血管選択性の高い主な理由である。○
c 薬によって房室伝導に対する作用の強さが違うのは、別のチャネルに作用するからである。×
問134.高脂血症治療薬の作用機序に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ベザフィブラートには、コレステロール分解除去作用がある。×
c プラバスタチンナトリウムは、コレスナロールの生合成を阻害する。○
d コレスチラミンは、胆汁酸の糞便中排泄を促進するとともに、コレステロールの吸収を抑制する。○
e デキストラン硫酸ナトリウムイオウは、トリグリセリドの加水分解を促進する。○
問135.腎機能に影響する次の薬物の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a トリクロルメチアジドは、低K+血症、高尿酸血症、耐糖能低下などをもたらすことがある。○
b スピロノラクトンは、アルドステロン依存性のNa+ - K+交換系を抑制し、利尿を起こす。○
c アセタゾラミドは、遠位尿細管に作用して、H+ - K+交換系を抑制する。×
問136.呼吸器系疾患治療薬の作用機構についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塩酸ドキサプラムは、主として延髄の呼吸中枢に直接作用する呼吸不全改善薬である。×
e プロピオン酸ベクロメタゾンの気道炎症抑制作用には、T細胞でのサイトカインの産生阻害が関与する。○
問137.消化管に作用する薬物に関する以下の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 塩酸ロペラミドは、腸管のムスカリン受容体を介して腸運動を抑制し、水分の腸組織への吸収を促進する。×
c 硝酸マグネシウムは、小腸から吸収させた後、速やかに結腸に分泌され、組織から腸管腔に水を吸引して腸管内容物量を増加させ、水様便を排出させる。×
e ピコスルファートナトリウムは、腸内細菌で活性化され、大腸粘膜を刺激し緩下作用を現わす。○
問138.次の消化性潰瘍治療薬のうち、主として防御因子を増強する作用を持つものの正しい組合せはどれか。
a ファモチジン b オルノプロスチル c スクラルファート
d テプレノン e オメプラゾール
問139.経口避妊薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 卵胞ホルモン・黄体ホルモン合剤は、視床下部-下垂体ゴナドトロピン系を抑制して、排卵を抑える。○
b ノルエチステロンは卵胞ホルモンであり、子宮内膜を変化させて受精を抑制する。×
問140.血小板に作用する次の薬物と関連の深い用語の組合せのうち、正しい組合せはどれか。
a ベラプロスト------- トロンボキサンA2(TXA2)受容体×
c オザグレル--------- プロスタサイクリン(PGI2)受容体×
問141.ヘパリンの抗凝血作用の発現に必須な物質であり、それ自体単独でも抗凝血薬として使用される薬物はどれか。
1 メコバラミン 2 ビタミンK 3 アルガトロバン
4 組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA) 5 アンチトロンビン III
問142.次の眼科領域の医薬品についての記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 創傷性角膜障害に適応するヒアルロン酸ナトリウムの点眼は、角膜上皮細胞伸展と水分保持効果を示す。○
b 眼組織のエネルギー代謝系の改善を目的に、シアノコバラミンが調節性眼精疲労の際に点眼される。○
c ピレノキシンは、レンズ体たん白質の変性を防止することで、老人性白内障を完治させる。×
問143.次の皮膚科領域疾患治療薬の作用機構の説明文のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 活性型ビタミンD1であるタカルシトールは、表皮細胞増殖抑制や分化誘導を期待した角化症治療薬である。×
d ニキビの患部に生息するプロピオニバクテリウム・アクネスには、ナジフロキサシンのようなDNAジャイレース阻害薬が有効である。○
e 抗炎症・抗アレルギー作用のあるジメチルイソプロピルアズレンは、褥瘡性潰瘍の治療にも効果を示す。○
問144.糖尿病治療薬に関する次の記述について、正しいものの組合せはどれか。
a グリベンクラミド(スルホニル尿素系)は、ATP依存性K+チャネル活性化薬である。×
c ボグリボースは二糖類分解酵素を阻害して、食後の消化管における糖吸収を遅らせる。○
d インスリンは、チロシンキナーゼを内蔵するインスリン受容体に結合し、細胞内へのグルコースの取り込みを亢進する。○
e エパルレスタットは、アルドース還元酵素阻害薬であり、高血糖持続時にみられるソルビトール蓄積による末梢神経障害を改善する。○
問145.次の抗ウイルス薬と作用機構に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ジドブジンは、感染細胞内でジドブジン三リン酸に代謝されてウイルス逆転写酵素を活性化する。×
c インターフェロンアルファ(IFN-α)は、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化など生体免疫系を増強する。○
d 感染細胞内に入ったアシクロビルは、そのままDNAポリメラーゼの基質となり、DNA合成を阻害する。×
問146.抗菌薬の副作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 硫酸ストレプトマイシンは、再生不良性貧血を起こすことがある。×
e スパルフロキサシンなどのニューキノロン系薬物は、光線過敏症を起こすことがある。 ○
問147.次の抗悪性腫瘍薬の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塩酸ドキソルビシンはDNAをアルキル化し、DNAポリメラーゼの作用を抑制する。×
d テガフールは体内でフルオロウラシルに変換後、リン酸化されてチミジル酸合成酵素と結合してDNA合成を抑制する。○
e エトポシドはS期後半からG2期の細胞に感受性を示し、トポイソメラーゼ I を阻害することでDNA鎖切断を引き起こす。×
問148.タクロリムス水和物に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 真菌の代謝産物から分離精製したマクロライド系化合物である。×
d 腎移植時の拒絶反応の抑制には、シクロスポリンより低用量で用いられる。○
e 副作用として最も問題となるのは、体液性免疫抑制に伴う発がん性である。×
問149.ワクチン及び抗毒素療法に関する以下の記述について、正しい組合せはどれか。
a 抗毒素療法とは、抗原を投与することにより、抗体産生や細胞性免疫を誘起するものである。×
d ワクチン療法に応用されるトキソイドとは、たん白質性の毒素を免疫原性を維持したまま無毒化したものである。○
問150.救急救命及び急性薬物中毒の治療法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 一次救命処置は、気道の確保、医薬品による呼吸・循環の回復である。×
3 中毒を引き起こした物質の吸収阻止・排泄促進には、峻下薬の経口注入が最も有効な手段である。×
問151.受動拡散に従わない物質の膜輸送に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 能動輸送と促進拡散はどちらも担体介在性輸送であり、ATP等の細胞内代謝エネルギーを必要とする。×
5 小腸粘膜に存在するパイエル板は、抗原たん白質を担体介在性輸送により吸収する局所免疫部位である。×
問152.経口投与後の薬物吸収に対する食事の影響に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a フェニトインは溶解性が低いので、食後に投与した方が吸収は増大する。○
b 食後の方が消化管の血流量が減少するために塩酸プロプラノロールの吸収は低下する。×
d シクロスポリンは脂溶性が高く、吸収は食事の影響を受けない。×
問153.下図は、グリコシル化した遺伝子組換えヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を静脈内投与( )と皮下投与(一一 一)した後の血漿中濃度時間曲線である。
静脈内投与に比べ、皮下投与の方がGM-CSFの血漿中滞留性が高くなる原因について正しい記述はどれか。
1 皮下投与されたGM-CSFは、皮膚細胞間液中のたん白質と複合体を形成し、ペプチダーゼに対する安定性が増大するため。×
3 皮下投与されたGM-CSFは、皮膚の細胞膜に局在する受容体に強く結合するため。×
4 皮下投与されたGM-CSFは、血流律速で循環血液中に移行するため。×
問154.薬物の投与設計に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a コンパートメントモデルに従う薬物を、その血中消失半減期の4倍の時間、静脈内定速注入で投与したとき、血中濃度は定常状態の値の90%以上に達する。○
b 2-コンパートメントモデルに従う薬物の負荷投与量は、その薬物の定常状態血中濃度を定常状態分布容積で除した値として求められる。×
c 1-コンパートメントモデルに従う薬物を繰り返し投与し、血中濃度が定常状態に達したとき、繰り返し投与間隔ごとの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、同じ投与量を単回投与した時のAUCと等しい。○
問155.薬物の代謝酵素活性は個人によって顕著に異なることがある。図1~5は、それぞれある薬物を4人に経口投与した時の血中濃度時間曲線を片対数グラフで比較したものである。個人差の傾向をもっとも良く反映した図はどれか。
ただし、この薬物の体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従い、吸収性は良好であり血漿たん白結合は無視でき、肝代謝が主たる消失経路で固有クリアランス律速で消失するものとする。
問156.体内動態の非線形性に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 腎排泄が主たる消失経路の薬物について、静脈内投与量を増加したときに血中消失半減期が長くなった。最も可能性の高い原因は、腎尿細管分泌過程の飽和である。ただし、この薬物の腎クリアランスは低投与量では、糸球体ろ過速度より大きい。○
b 肝代謝が主たる消失経路の薬物について、静脈内投与量を増加したときに血中消失半減期が短くなった。最も可能性の高い原因は、肝代謝過程の飽和である。ただし、薬物の投与量を増加しても肝血流速度は一定である。×
問157.薬物Aの血漿たん白結合傘は50%で、一部は肝臓で代謝され、そのクリアランスは12.5 mL/minである。薬物Aは、重曹服用等により尿をアルカリ性にすることで、腎臓の尿細管部位における未変化薬物の再吸収率がO.94から0.70に減少することが知られている。この場合、薬物Aの全身クリアランスはどのように変化すると考えられるか。なお、糸球体ろ過速度(GFR)は、125 mL/minで、尿をアルカリ性にすることによる変化はない。尿細管分泌は無視できるものとする。
1 約1/5に減少する。
2 約1/2に減少する。
3 ほとんど変化しない。
4 約2倍に増加する。
5 約5倍に増加する。
問158.数ケ月間にわたって毎日ジゴキシン0.25 mg錠1錠を自宅で服用していた患者(体重50 kg)が、ジゴキシン中毒の疑いで入院した。入院直後のジゴキシン服薬前の最低血中濃度が4.0 ng/mLを示したので、服薬を中止した。ジゴキシン血中濃度が4.0 ng/mLから2.0 ng/mLに低下するにはどれくらいの時間を要するか。なお、ジゴキシン錠のバイオアベイラビリティは0.7、分布容積は4.8 L/kgであり、最低血中濃度は平均血中濃度とみなすことができる。
1 27 hr 2 38 hr 3 1.9d ay 4 2.7 day 5 3.8 day
問159.次の記述は薬物のバイオアベイラビリティに関するものである。正しいものの組合せはどれか。
a 肝代謝が唯一の消失経路である薬物の肝抽出率が60%であるとき、この薬物を経口投与したときのバイオアベイラビリティは40%以下である。○
b 相対的バイオアベイラビリティは、ある薬剤を経口投与したときの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と静脈内投与したときのAUCの比率から求める。×
問160.下記の図は、ある薬物の3種類の製剤X、Y、Zに関する血中濃度の時間曲線を示しており、血中濃度時間曲線下面積(AUC)の大きさを比較すると、X = Y > Zであり、最高血中濃度はY > X > Zである。バイオアベイラビリティ(BA)及び生物学的同等性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 XとYのBAは等しく、生物学的に同等である。
2 XとYのBAは等しくないが、生物学的に同等である。
3 XとYのBAは等しいが、生物学的に同等ではない。
4 ZはXに比してBAは小であるが、生物学的に同等である。
5 ZはYに比してBAは小であるが、生物学的に同等である。
問161.高齢者の薬物動態に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 胃酸分泌の低下による胃内pH上昇のため、弱塩基性薬物の吸収は低下する。×
c 体脂肪/体水分の値が上昇するため、脂溶性薬物の分布容積は増加する。○
d 糸球体ろ過率が低下するため、腎排泄型薬物のクリアランスは増大する。×
問162.アミノグリコシド系抗生物質の投与法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 腎機能障害患者において投与間隔を調節して投与する場合、一般に消失半減期が長い患者では、投与間隔が長くなる。○
b 腎機能障害患者において投与量を調節する場合、患者のクレアチニンクリアランスを指標に投与量を決定することがすすめられる。○
c 投与直後の最高血中濃度が投与前の最低血中濃度の2倍以上を示せば、副作用発現の危険性は高くなる。×
問163.病態時の薬物体内動態に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a トルブタミドは、肝固有クリアランスが小さいために、肝障害に伴う肝血流量低下の影響を受けやすく、全身クリアランスが減少しやすい。×
c プロカインアミドは、腎臓からの未変化体の排泄率が小さいために、腎障害時には消失半減期が短くなりやすい。×
問164.抗てんかん薬のフェノバルビタールの血中薬物濃度モニタリングに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 測定値が有効濃度域にあるかどうかの判定は、定常状態到達後の測定値を用いて行わなければならない。○
b フェノバルビタールの血中濃度に影響を及ぼす薬物は知られていないので、併用薬について調査する必要はない。×
問165.薬物Aの血中たん白非結合率(fu)は0.02で、定速静脈内投与によって定常状態に達したときの血中全薬物濃度ほ2μg/mLであった。この状態で薬物Bを併用し両薬物ともに定常状態になったとき、薬物Aのfuは、0.06に上昇し、その血中全薬物濃度は0.67μg/mLとなった。薬物Aの薬理効果は血中非結合形薬物濃度に比例し、薬物Aと薬物Bの間には薬理学的相互作用はない。薬物Bを併用することによって、薬物Aの薬理効果はどのように変化すると予測されるか。
1 1/5に減少する。
2 1/3に減少する。
3 ほとんど変化しない。
4 1/5だけ増加する。
5 1/3だけ増加する。
問166.薬物A~Dについて、それぞれ3種類の異なる含量の水性注射剤(2 mL溶液、アンプル入り)を調製し、それらの40℃における経時的安定性を試験した。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 薬物Aについて、初期含量に対する残存率が90%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に無関係であった。この結果から、薬物Aの分解は0次反応であることがわかった。×
c 薬物Cについて、初期含量に対する残存率が50%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に無関係であった。この結果から、薬物Cの分解は1次反応であることがわかった。○
d 薬物Dについて、初期含量に対する残存率が50%となるまでの時間を求めたところ、初期含量の2乗に比例した。この結果から、薬物Dの分解は2次反応であることがわかった。×
問167.下図は、粉末薬品(単品)に種々の相対湿度のもとで水蒸気を接触させたときの、吸着等温線(・)及び一定温度における吸湿平衡図(II)を示したものである。この図に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a I
は水に不溶性の物質であり、IIは水溶性の場合である。○
b IはBET型といわれ、多分子層吸着の場合なので、この結果から単分子層飽和吸着量に相当する吸着量を求めることはできない。×
d 大気の水蒸気圧が変わらなくても、温度を上げるとその温度での空気中の飽和水蒸気圧が大きくなるので相対湿度は変化する。○
e A,Bのような吸湿平衡を示す互いに反応しない二つの水溶性粉末薬品を混合すると、混合物の臨界相対湿度はCのように変化し、吸湿しやすくなる。×
問168.次のa~eのうち、粉体のぬれに関係した用語として正しいものの組合せはどれか。
a 接触角○
b 安息角×
c Elderの仮説×
d Washburnの式○
e Kozeny-Carmanの式×
問169.水に不溶の高分子マトリックス中に薬物を分散させたとき、水中におけるマトリックス表面からの薬物の放出は次式に従うものとする。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
Q=[D・(2A-Cs)・Cs・t]1/2 (1)
t :
時間
Q :t時間後におけるマトリックスの単位面積あたりの累積薬物放出量
D :マトリックス中の薬物の拡散係数
A :マトリックス中の単位容積あたりの薬物量
Cs :マトリックス中の薬物の溶解度
a 薬物放出の初期においては、累積薬物放出量は時間の平方根に対して直線となる。○
b 薬物放出速度は時間の平方根に対して直線となる。×
Q=[2A・D・t]1/2 ×
Q=2A
問170.ある界面活性剤溶液の表面張力を測定して図に示す結果を得た。この図に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 界面活性剤のミセルとしての濃度はBで最大となる。×
d BとCでは溶液表面への界面活性剤の吸着量はほぼ同一である。○
問171.分散系の安定性に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 液中に分散したコロイド粒子はStokesの式に従って沈降する。×
問172.レオロジーに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塑性流動では降伏値よりも大きなずり応力が与えられると、粘度はずり速度の増加とともに増大する。×
c ニュートン流動体においては、ずり応力を一定に保つと、ずり速度は変化する。×
問173.日本薬局方通則に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 標準温度は20℃、室温は15~25℃とする。×
d 密封容器とは、通常の取扱いにおいて、外部からの固形異物の混入を防ぎ、内容医薬品が損失しないように保護することができる容器をいう。×
問174.製剤の製造に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a Rittingerの式は、粉砕に要する仕事量は生成した新しい表面積に比例するという粉砕理論に基づいている。○
b 熱分解しやすい原体を微粉砕する場合には、ジェットミルを用いて粉砕すると分解をある程度防げる。○
c 原料粉体の混合に影響を及ぼす主要な物性としては、粒度、吸湿性、オリフィス流出速度、接触角、かさ密度、及び粘弾性などがあげられる。×
問175.圧縮成形(打錠)に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 ロータリー打錠機は、通常、ターンテーブルが1回転すると1個の錠剤ができる構造になっている。×
4 打錠用顆粒への滑沢剤の添加は、通常、造粒中に行う。×
問176.固形製剤に用いられる添加物とその用途を次に示す。正しいものの組合せはどれか。
固形製剤に用いられる添加物 |
用途 | ||
|
結晶セルロース |
------ |
滑沢剤× |
解: |
結晶セルロース |
------ |
賦形剤(滑沢剤・結合剤・崩壊剤) |
|
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート |
------ |
腸溶性コーティング剤○ |
|
ヒドロキシプロピルセルロース |
------ |
崩壊剤× |
解: |
ヒドロキシプロピルセルロース |
------ |
結合剤 |
|
ポリビニルピロリドンK25 |
------ |
結合剤○ |
|
ステアリン酸マグネシウム |
------ |
フィルムコーティング剤 |
解: |
ステアリン酸マグネシウム |
------ |
滑沢剤 |
問177.以下の4種の物質を各1 g量り、それぞれ精製水で100 mLの溶液としたとき、最も高い浸透圧を示す物質と最も低い浸透圧を示す物質について、正しい組合せはどれか。
a 塩化ナトリウム
b 平均分子量20000のポリビニルアルコール
c 容積価26.7 mLの薬物A
d 食塩価(食塩当量)0.40 gの薬物B
最も高い 最も低い
1 a b
2 b c
3 c d
4 d a
5 d c
問178.経口徐放性製剤及びその対象薬物に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 徐放性製剤は、通常の製剤に比べ、薬効をより長時間持続させたり副作用の発現を低減させることが期待できる。○
b 一日の投与回数が多い薬剤は、徐放性製剤とすることによって服薬コンプライアンスの向上が期待できる。○
c 初回通過効果の大きい薬物は、徐放性製剤とすることによってバイオアベイラビリティが増大するという有利な点がある。×
問179.日本薬局方収載の製剤の試験法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 直径20.0 mm以上の大きさの製剤、腸溶性の製剤、徐放性の製剤及び溶出試験の適用を受ける製剤には、崩壊試験法を適用しない。×
4 プラスチック製医薬品容器試験法の透明性試験第1法は、容器の凸凹やエムボス加工があり、さらにわん曲のある容器にも適用できる。×
問180.無菌製剤の調製、試験法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a エンドトキシンは発熱性物質の一つである。○
b 超ろ過法ではエンドトキシンは除去できない。×