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医療薬学Ⅰ

問121.次の薬物 - 臨床適用 - 薬理試験法の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

薬物

臨床適用

薬理試験法

a

ジクロフェナクナトリウム

-----

痛み

-----

酢酸ライジング試験

b

アセトアミノフェン

-----

発熱

-----

カラゲニン浮腫法×

解:

アセトアミノフェン

-----

発熱

-----

体温測定

c

ジアゼパム

-----

神経症

-----

条件回避反応試験×

解:

ジアゼパム

-----

神経症

-----

スキナーボックス法

d

エトスクシミド

-----

欠神発作

-----

ペンテトラゾール誘発痙れん法

e

塩酸クロミプラミン

-----

うつ病

-----

レセルピン誘発眼瞼下垂試験



問122.次の薬理作用と薬物受容体・情報伝達系の対応について、正しいものの組合せはどれか。

薬理作用 

薬物受容体・情報伝達系

a

塩酸ドパミンの強心作用

-----

アドレナリンβ1受容体刺激によるGsたん白質の活性化

b

塩酸クロニジンの降圧作用

-----

アドレナリンα2受容体遮断によるGiたん白質の不活性化

解:

塩酸クロニジンの降圧作用

-----

アドレナリンα2受容体刺激によるGiたん白質の活性化

c

臭化ブチルスコポラミンの鎮痙作用

-----

ムスカリンM3受容体遮断によるGqたん白質の活性化の阻害

d

メシル酸ブロモクリプチンの抗パーキンソン作用

-----

ドパミンD2受容体刺激によるGiたん白質の活性化

e

バクロフェンの中枢性筋弛緩作用

-----

GABAA受容体刺激によるCl-チャネル開口

解:

バクロフェンの中枢性筋弛緩作用

-----

GABAB受容体刺激によるK+チャネル開口



問123.次の薬物 - 影響を受ける酵素 - 発現効果に関する組合せのうち、正しいものはどれか。

薬物

酵素

発現効果

a

クエン酸シルデナフィル

-----

ホスホジエステラーゼ5

-----

陰茎海綿体弛緩増強

b

ワルファリンカリウム

-----

ビタミンKエポキシド還元酵素

-----

血液凝固促進×

解:

ワルファリンカリウム

-----

ビタミンKエポキシド還元酵素

-----

血液凝固阻止

c

アルテプラーゼ

-----

プラスミン

-----

抗線溶×

解:

アルテプラーゼ

-----

プラスミノーゲン

-----

線溶

d

アカルボース

-----

アルドース還元酵素×

-----

ソルビトール蓄積阻害×

解:

アカルボース

-----

α-グルコシダーゼ阻害薬

-----

食後過血糖抑制

e

硝酸イソソルビド

-----

グアニル酸シクラーゼ

-----

血管拡張



問124.下記のグラフは、モルモット回腸小片のアセチルコリンによる収縮反応の濃度-反応曲線を示している。薬物Aと薬物B自体には回腸収縮作用はない。この実験に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。


 a アセチルコリンのpD2値は、6.O~7.Oの間にある。
 b 薬物Aは、ムスカリン受容体において、アセチルコリンに対して競合的拮抗を示す。
 c 薬物AのpA2値は、8.0より大きいことが推定できる。
 d 薬物BのpA2値は、7.0より大きいことが推定できる。×

解:薬物BのpA2値は、存在しない。
 e アセチルコリン3×10-6Mによる収縮は、薬物Aの10-8Mによって約90%抑制されている。×
解:アセチルコリン3×10-6Mによる収縮は、薬物Aの10-8Mによって約50%抑制されている。


問125.アドレナリン受容体遮断薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a アテノロールはβ1受容体に特異性が高いが、気管支ぜん息をもつ循環器疾患患者の治療には慎重に用いる。
 b 塩酸プラゾシンは、シナプス前膜β1受容体を特異的に遮断することによって、心機能抑制作用を示す。×
解:塩酸プラゾシンは、シナプス前膜α1受容体を特異的に遮断することによって、血管拡張作用を示す。
 c 塩酸プロプラノロールの降圧作用は、α1受容体遮断作用による血管平滑筋の弛緩による。×
解:塩酸プロプラノロールの降圧作用は、非選択的β受容体遮断作用による心臓に作用して心拍数、心拍出量の減少による。
 d メシル酸フェントラミンは、α1及びα2受容体遮断薬であるが、そのシナプス前α2受容体遮断作用によって交感神経終末におけるノルエピネフリン遊離を増加させる。
 e 塩酸ラベタロールは、α、β受容体遮断薬であり、気管支ぜん息の治療に用いられる。×
解:塩酸ラベタロールは、α、β受容体遮断薬であり、気管支ぜん息の患者には慎重投与である。


問126.コリンエステラーゼに作用する薬物に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 有機リン化合物のサリンやパラチオンなどは、強いコリンエステラーゼ活性化作用をもつ。×
解:有機リン化合物のサリンやパラチオンなどは、非可逆的にコリンエステラーゼ活性化阻害作用をもつ。
 b ヨウ化プラリドキシム(PAM)は、コリンエステラーゼ賦活作用を有し、有機リン化合物中毒の治療に用いられる。
 c 塩化ベタネコールは、コリンエステラーゼの作用を受けやすく、治療薬として用いられない。×
解:塩化ベタネコールは、コリンエステラーゼの作用を受けにくく、治療薬として用いられる
 d 塩化エドロホニウムは、可逆的コリンエステラーゼ阻害薬であるが、その作用は弱く効力の持続も短いので、治療よりは重症筋無力症の診断に使用される。
 e 臭化ジスチグミンは、シュレム管を圧迫閉塞させるので、緑内障がある患者には用いられない。×
解:臭化ジスチグミンは、シュレム管を開口させるので、緑内障を改善する


問127.麻酔薬及び麻酔併用薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 全身麻酔薬は、延髄機能の抑制に先だって大脳皮質や脊髄を抑制するものが望ましい。
 b 麻酔時に塩酸モルヒネを併用すると、モルヒネの動眼神経核(第III脳神経)の遮断作用により散瞳の増大が認められる。×
解:麻酔時に塩酸モルヒネを併用すると、モルヒネの動眼神経核(第III脳神経)の刺激作用により縮瞳の増大が認められる。
 c プロポフォールは麻酔の導入、覚醒が速やかで超短時間型静脈麻酔薬として用いられる。
 d 神経遮断性麻酔には、短時間作用型鎮痛薬のフェンタニルとブチロフェノン系神経遮断薬のトロペリドールを併用する。
 e セボフルランは、ハロタンより心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用が強い。×
解:セボフルランは、ハロタンより心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用が弱い


問128.向精神薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a リスペリドンは、セロトニン5-HT2受容体及びドパミンD2受容体の遮断作用を有する精神分裂病治療薬である。
 b 塩酸ミアンセリンは四環系抗うつ薬であり、ドパミン、セロトニンなどのモノアミンの再取り込みを阻害する作用が強い。×
解:塩酸ミアンセリンは四環系抗うつ薬であり、シナプス前部のアドレナリンα2受容体遮断作用による神経終末でのノルエピネフリンの遊離促進作用が強い。
 c クエン酸タンドスピロンは、脳内セロトニン5-HT1A受容体を選択的に刺激して、抗不安作用を発現する。
 d 炭酸リチウムは、A型モノアミン酸化酵素(MAOA)を阻害するので、抗そう病薬として用いられる。×
解:炭酸リチウムは、ホスファチジルイノシトール代謝回転抑制するので、抗そう病薬として用いられる。
 e マレイン酸フルフェナジンは、強力なドパミンD2受容体遮断作用を有する精神分裂病治療薬である。


問129.パーキンソン病治療薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 経口投与されたレボドパは、大部分脳外で代謝されるので、カルビドパの併用が有効である。
 b  A型モノアミン酸化酵素(MAOA)阻害薬である塩酸セレギリンが有効である。×
解:B型モノアミン酸化酵素(MAOB)阻害薬である塩酸セレギリンが有効である。
 c ドロキシドパは、生体内でノルエピネフリンに変換され、特にすくみ足に有効である。
 d 末梢性抗コリン薬である臭化メチルアトロピンは初期のパーキンソン病に用いられる。×
解:末梢性抗コリン薬である臭化メチルアトロピンは初期のパーキンソン病に用いられない
 e 塩酸アマンタジンは、ドパミンD2受容体のアゴニストとして作用する。×
解:塩酸アマンタジンは、ドパミン遊離作用を有する。


問130.次の薬物 - 薬理作用 - 適応の対応のうち、正しいものの組合せはどれか。

薬物

薬理作用

適応

a

塩酸オンダンセトロン

-----

セロトニン5-HT3 受容体遮断

-----

抗悪性腫瘍薬による悪心・嘔吐

b

ロサルタンカリウム

-----

アンギオテンシン II 受容体遮断

-----

高血圧症

c

ベラプロストナトリウム

-----

プロスタサイクリン受容体遮断×

-----

慢性動脈閉塞症

解:

ベラプロストナトリウム

-----

プロスタサイクリン受容体刺激

-----

慢性動脈閉塞症

d

セラトロダスト

-----

トロンボキサンA2受容体刺激×

-----

気管支ぜん息

解:

セラトロダスト

-----

トロンボキサンA2受容体遮断

-----

気管支ぜん息

e

塩酸エピナスチン

-----

ヒスタミンH1受容体遮断

-----

じんま疹



問131.アレルギー性鼻炎に用いられる薬物とその薬理作用の対応の正誤について、正しい組合せはどれか。

薬物

薬理作用

a

マレイン酸クロルフェニラミン

------

ヒスタミンH1受容体遮断作用によってくしゃみも抑制される。

b

臭化フルトロピウム

------

抗コリン作用に基づく血管透過性抑制作用により水性鼻漏に有効である。

解:

臭化フルトロピウム

------

抗コリン作用に基づく鼻腺刺激抑制作用により鼻漏に有効である。

c

塩酸ナファゾリン

------

アドレナリンα1受容体刺激を介する鼻粘膜の血管収縮により鼻閉に有効である。

d

フマル酸ケトチフェン

------

リンパ球からのサイトカイン遊離抑制作用により鼻炎の予防に有効である。

解:

フマル酸ケトチフェン

------

ケミカルメディエーター遊離抑制作用により鼻炎の予防に有効である。

e

プロピオン酸ベクロメタゾン

------

鼻腔内吸入により局所的な強い抗鼻炎効果がみられる。



問132.ニトログリセリンで代表される亜硝酸薬の作用のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 総末梢血管抵抗を減少させる。
 b 脳血管は拡張しない。×
解:脳血管は拡張する
 c 冠動脈の太い部分を強く弛緩させる。
 d 静脈拡張作用は弱い。×
解:静脈拡張作用は強い
 e 血管平滑筋弛緩作用はサイクリックAMP(cAMP)増加を介する。×
解:血管平滑筋弛緩作用はサイクリックGMP(cGMP)増加を介する。


問133.Ca2+チャネル遮断薬についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 構造が全く異なっても、同じ血管平滑筋や心筋のL型Ca2+チャネルに作用する。
 b 血管平滑筋の膜電位が心室筋と比べ浅いことが、血管選択性の高い主な理由である。
 c 薬によって房室伝導に対する作用の強さが違うのは、別のチャネルに作用するからである。×
解:薬によって房室伝導に対する作用の強さが違うのは、回復速度の違いからである。
 d 短時間型では交感神経の緊張が大きく現れることがあるが、長期使用では問題ない。×
解:耐性を生じないので使用期間にかかわらず交感神経の緊張が大きく現れることがある
 e 注意すべき副作用として顔面紅潮、動悸、頭痛、便秘、下肢の浮腫、歯肉肥厚が知られている。


問134.高脂血症治療薬の作用機序に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a ベザフィブラートには、コレステロール分解除去作用がある。×
解:ベザフィブラートには、コレステロール合成阻害作用がある。
 b プロブコールは、コレステロールから胆汁酸への異化排泄を促進する。
 c プラバスタチンナトリウムは、コレスナロールの生合成を阻害する。
 d コレスチラミンは、胆汁酸の糞便中排泄を促進するとともに、コレステロールの吸収を抑制する。
 e デキストラン硫酸ナトリウムイオウは、トリグリセリドの加水分解を促進する。


問135.腎機能に影響する次の薬物の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a トリクロルメチアジドは、低K+血症、高尿酸血症、耐糖能低下などをもたらすことがある。
 b スピロノラクトンは、アルドステロン依存性のNa+ - K+交換系を抑制し、利尿を起こす。
 c アセタゾラミドは、遠位尿細管に作用して、H+ - K+交換系を抑制する。×
解:アセタゾラミドは、近位尿細管に作用して、H+ - Na+交換系を抑制する。
 d フロセミドは、ヘンレ係蹄下行脚において、Na+ - K+ -2Cl-の共輸送を阻害する。×
解:フロセミドは、ヘンレ係蹄行脚において、Na+ - K+ -2Cl-の共輸送を阻害する。
 e エタクリン酸は、遠位尿細管腔に到達するNa+の増大により、K+の排泄を低下させる。×
解:エタクリン酸は、ヘンレ係蹄行脚において、Na+ - K+ -2Cl-の共輸送を阻害する。(ループ利尿薬)


問136.呼吸器系疾患治療薬の作用機構についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 塩酸ドキサプラムは、主として延髄の呼吸中枢に直接作用する呼吸不全改善薬である。×
解:塩酸ドキサプラムは、主として末梢性化学受容器に作用する呼吸不全改善薬である。
 b 非麻薬性鎮咳薬ヒベンズ酸チペピジンは、延髄の咳嗽中枢抑制作用と気管支腺分泌抑制作用を引き起こす。×
解:非麻薬性鎮咳薬ヒベンズ酸チペピジンは、延髄の咳嗽中枢抑制作用と気管支腺分泌促進作用を引き起こす。
 c ブロムヘキシンの代謝活性体アンブロキソールは、肺サーファクタント分泌を減少させて痰の粘性を低下させる。×
解:ブロムヘキシンの代謝活性体アンブロキソールは、肺サーファクタント分泌を促進させて痰の粘性を低下させる。
 d 去痰薬カルボシステインは、粘液構成成分の割合を変化させて、痰を喀出しやすくする。
 e プロピオン酸ベクロメタゾンの気道炎症抑制作用には、T細胞でのサイトカインの産生阻害が関与する。


問137.消化管に作用する薬物に関する以下の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 塩酸ロペラミドは、腸管のムスカリン受容体を介して腸運動を抑制し、水分の腸組織への吸収を促進する。×
解:塩酸ロペラミドは、腸管のオピオイド受容体を介して腸運動を抑制し、水分の腸組織への吸収を促進する。
 b カルメロースナトリウムは、腸管腔で水を吸収し、腸内容物の容積を増大することにより、蠕動運動を促進する。
 c 硝酸マグネシウムは、小腸から吸収させた後、速やかに結腸に分泌され、組織から腸管腔に水を吸引して腸管内容物量を増加させ、水様便を排出させる。×
解:硝酸マグネシウムは、小腸から吸収されにくく腸管内で高張液状態になり、腸管腔内の水分を保持し、組織から腸管腔に水を吸引して腸管内容物量を増加させ、水様便を排出させる。
 d センノシドは、腸内細菌の作用により活性化され、緩下作用を現わす。
 e ピコスルファートナトリウムは、腸内細菌で活性化され、大腸粘膜を刺激し緩下作用を現わす。


問138.次の消化性潰瘍治療薬のうち、主として防御因子を増強する作用を持つものの正しい組合せはどれか。
 a ファモチジン  b オルノプロスチル  c スクラルファート
 d テプレノン
   e オメプラゾール


問139.経口避妊薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 卵胞ホルモン・黄体ホルモン合剤は、視床下部-下垂体ゴナドトロピン系を抑制して、排卵を抑える。
 b ノルエチステロンは卵胞ホルモンであり、子宮内膜を変化させて受精を抑制する。×
解:ノルエチステロンは黄体ホルモンであり、子宮内膜を変化させて受精を抑制する。
 c エチニルエストラジオールは、黄体ホルモンであり、肝臓での代謝が遅く、経口でも有効である。×
解:エチニルエストラジオールは、卵胞ホルモンであり、肝臓での代謝が遅く、経口でも有効である。
 d 経口避妊薬の副作用として、血栓症、高血圧、うつ病がまれに起こる。


問140.血小板に作用する次の薬物と関連の深い用語の組合せのうち、正しい組合せはどれか。
  a ベラプロスト------- トロンボキサンA2(TXA2)受容体×
解:ベラプロスト------- プロスタサイクリン(PGI2)受容体
  b シロスタゾール----- ホスホジエステラーゼ III(PDE III)
  c オザグレル--------- プロスタサイクリン(PGI2)受容体×
解:オザグレル--------- トロンボキサンA2合成阻害
  d サルポグレラート---- セロトニン5-HT2 受容体


問141.ヘパリンの抗凝血作用の発現に必須な物質であり、それ自体単独でも抗凝血薬として使用される薬物はどれか。
  1 メコバラミン      2 ビタミンK     3 アルガトロバン
  4 組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)     5 アンチトロンビン III
 


問142.次の眼科領域の医薬品についての記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 創傷性角膜障害に適応するヒアルロン酸ナトリウムの点眼は、角膜上皮細胞伸展と水分保持効果を示す。
 b 眼組織のエネルギー代謝系の改善を目的に、シアノコバラミンが調節性眼精疲労の際に点眼される。
 c ピレノキシンは、レンズ体たん白質の変性を防止することで、老人性白内障を完治させる。×
解:ピレノキシンは、レンズ体たん白質の変性を防止することで、老人性白内障を防止させる。
 d イソプロピルウノプロストンは、特異的に房水の産生を抑制して、眼圧低下作用を示すプロスタグランジン系点眼薬である。×
解:イソプロピルウノプロストンは、特異的に房水の流出促進して、眼圧低下作用を示すプロスタグランジン系点眼薬である。
 e 炎症性やアレルギー性疾患には、感染予防の目的でリン酸ベタメタゾンナトリウムを点眼する。×
解:炎症性やアレルギー性疾患には、感染予防の目的でリン酸ベタメタゾンナトリウムを点眼しない


問143.次の皮膚科領域疾患治療薬の作用機構の説明文のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 活性型ビタミンD1であるタカルシトールは、表皮細胞増殖抑制や分化誘導を期待した角化症治療薬である。×
解:活性型ビタミンD3であるタカルシトールは、表皮細胞増殖抑制や分化誘導を期待した角化症治療薬である。
 b クロトリマゾールは、真菌細胞膜のリン脂質代謝に作用し、細胞壁合成を抑制して白癬に効果を示す。×
解:クロトリマゾールは、真菌細胞膜のラノステロール代謝を抑制し、細胞壁合成を抑制して白癬に効果を示す。
 c アルプロスタジルアルファデクスは、患部血流改善、肉芽・表皮形成作用があるので、皮膚潰瘍に用いられる。
 d ニキビの患部に生息するプロピオニバクテリウム・アクネスには、ナジフロキサシンのようなDNAジャイレース阻害薬が有効である。
 e 抗炎症・抗アレルギー作用のあるジメチルイソプロピルアズレンは、褥瘡性潰瘍の治療にも効果を示す。


問144.糖尿病治療薬に関する次の記述について、正しいものの組合せはどれか。
 a グリベンクラミド(スルホニル尿素系)は、ATP依存性K+チャネル活性化薬である。×
解:グリベンクラミドは、ATP依存性K+チャネル不活性化薬である。
 b スルホニル尿素系のトルブタミドは、膵β細胞の電位依存性Ca2+チャネルを直接阻害し、内因性インスリンの分泌を抑制する。×
 c ボグリボースは二糖類分解酵素を阻害して、食後の消化管における糖吸収を遅らせる。
 d インスリンは、チロシンキナーゼを内蔵するインスリン受容体に結合し、細胞内へのグルコースの取り込みを亢進する。
 e エパルレスタットは、アルドース還元酵素阻害薬であり、高血糖持続時にみられるソルビトール蓄積による末梢神経障害を改善する。


問145.次の抗ウイルス薬と作用機構に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a ジドブジンは、感染細胞内でジドブジン三リン酸に代謝されてウイルス逆転写酵素を活性化する。×
解:ジドブジンは、感染細胞内でジドブジン三リン酸に代謝されてウイルス逆転写酵素を競合的に阻害する。
 b 硫酸インジナビルエタノール付加物は、ウイルスのプロテアーゼを阻害して増殖を抑制する。
 c インターフェロンアルファ(IFN-α)は、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化など生体免疫系を増強する。
 d 感染細胞内に入ったアシクロビルは、そのままDNAポリメラーゼの基質となり、DNA合成を阻害する。×
解:感染細胞内に入ったアシクロビルは、ウィルス内でリン酸化されてDNAポリメラーゼの基質となり、DNA合成を阻害する。
 e ビダラビン(Ara-A)は、ウイルスがヘルパーT細胞表面のCD4に結合するのを阻害する。×
解:ビダラビン(Ara-A)は、ウイルスがDNA合成をするのを阻害する。


問146.抗菌薬の副作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 硫酸ストレプトマイシンは、再生不良性貧血を起こすことがある。×
解:硫酸ストレプトマイシンは、聴覚障害(第8脳神経障害)を起こすことがある。
 b ミコナゾールは、フェンブフェンとの併用により痙れんを起こすことがある。×
解:ミコナゾールは、フェンブフェンとの併用により痙れんを起こすことはない。(誘発:フェンブフェンとエノキサシンなど)
 c 塩酸エタンブトールは聴力障害を起こすことがある。×
解:塩酸エタンブトールは視神経障害を起こすことがある。
 d 塩酸バンコマイシンの急速静注は、ヒスタミン遊離に起因する血圧低下を起こすことがある。
 e スパルフロキサシンなどのニューキノロン系薬物は、光線過敏症を起こすことがある。


問147.次の抗悪性腫瘍薬の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 塩酸ドキソルビシンはDNAをアルキル化し、DNAポリメラーゼの作用を抑制する。×
解:塩酸ドキソルビシンはDNAと複合体を形成し、DNAまたはRNAポリメラーゼの作用を抑制する。
 b 白金を構造中にもつシスプラチンは、DNAと結合し、DNA合成を抑制してG1期を阻害する。×
解:白金を構造中にもつシスプラチンは、DNAと結合し、DNA合成を抑制して周期依存的に細胞分裂を阻害する。
 c メトトレキサートは、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害してテトラヒドロ葉酸生成を低下させ、DNA合成を抑制させる。
 d テガフールは体内でフルオロウラシルに変換後、リン酸化されてチミジル酸合成酵素と結合してDNA合成を抑制する。
 e エトポシドはS期後半からG2期の細胞に感受性を示し、トポイソメラーゼ I を阻害することでDNA鎖切断を引き起こす。×
解:エトポシドはS期後半からG2期の細胞に感受性を示し、トポイソメラーゼ を阻害することでDNA鎖切断を引き起こす。


問148.タクロリムス水和物に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 真菌の代謝産物から分離精製したマクロライド系化合物である。×
解:放線菌の代謝産物から分離精製したマクロライド系化合物である。
 b B細胞に作用してインターロイキン2(IL-2)産生を抑制する。×
解:細胞に作用してインターロイキン2(IL-2)産生を抑制する。
 c ヘルパーT細胞や抗原特異的キラーT細胞の増殖分化を促進し、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を高める。×
 d 腎移植時の拒絶反応の抑制には、シクロスポリンより低用量で用いられる。
 e 副作用として最も問題となるのは、体液性免疫抑制に伴う発がん性である。×
解:副作用として最も問題となるのは、腎障害、脳症である。(不適切問題)


問149.ワクチン及び抗毒素療法に関する以下の記述について、正しい組合せはどれか。
 a 抗毒素療法とは、抗原を投与することにより、抗体産生や細胞性免疫を誘起するものである。×
解:抗毒素療法とは、動物あるいはヒトの免疫グロブリンを投与し、免疫能を移入するものである。
 b ワクチン療法とは、動物あるいはヒトの免疫グロブリンを投与し、免疫能を移入するものである。×
解:ワクチン療法とは、抗原を投与することにより、抗体産生や細胞性免疫を誘起するものである。
 c ワクチン療法では、異種たん白質の投与により、アレルギーや非特異的な毒性反応を引き起こすことがある。
 d ワクチン療法に応用されるトキソイドとは、たん白質性の毒素を免疫原性を維持したまま無毒化したものである。


問150.救急救命及び急性薬物中毒の治療法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 1 一次救命処置は、気道の確保、医薬品による呼吸・循環の回復である。×
解:一次救命処置は、気道の確保、呼吸の回復である。
 2 急性低血圧の補助的治療には、エピネフリンの静脈内投与が行われる。
 3 中毒を引き起こした物質の吸収阻止・排泄促進には、峻下薬の経口注入が最も有効な手段である。×
解:中毒を引き起こした物質の吸収阻止には、胃洗浄という手段である。
 4 腹膜透析は、腹膜の半透膜性を利用した中毒薬物の吸収抑制方法である。×
解:腹膜透析は、腹膜の半透膜性を利用した吸収された中毒薬物の除去には有効である。
 5 活性炭を用いた血液透析では、分子量にかかわらず、中毒物質を吸着除去できる。×
解:活性炭を用いた血液透析では、血漿たん白と結合しやすい薬物などは、中毒物質を吸着除去できない。



問151.受動拡散に従わない物質の膜輸送に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 1 能動輸送と促進拡散はどちらも担体介在性輸送であり、ATP等の細胞内代謝エネルギーを必要とする。×
解:能動輸送と促進拡散はどちらも担体介在性輸送であり、ATP等の細胞内代謝エネルギーを必要とするのは能動輸送のみである
 2 小腸上皮細胞の刷子縁膜に存在するNa+,K+-ATPaseは、ATPを間接的に消費して働く。×
解:小腸上皮細胞の刷子縁膜に存在するNa+,K+-ATPaseは、ATPを直接的に消費して働く。
 3 アミノ酸やジペプチドは担体介在性輸送に従い、その駆動力はナトリウムイオン勾配である。×
解:アミノ酸ジペプチドは担体介在性輸送に従い、その駆動力はそれぞれナトリウムイオンH+勾配である。
 4 セファレキシンは小腸から担体介在性輸送により吸収され、その駆動力はプロトン勾配である。
 5 小腸粘膜に存在するパイエル板は、抗原たん白質を担体介在性輸送により吸収する局所免疫部位である。×
解:小腸粘膜に存在するパイエル板は、抗原たん白質を膜動輸送(サイトーシス)により吸収する局所免疫部位である。



問152.経口投与後の薬物吸収に対する食事の影響に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a フェニトインは溶解性が低いので、食後に投与した方が吸収は増大する。
 b 食後の方が消化管の血流量が減少するために塩酸プロプラノロールの吸収は低下する。×
解:食後の方が消化管の血流量が増大するために塩酸プロプラノロールの吸収は増大する。
 c 食後投与により胃内容排出速度が遅くなるために、アセトアミノフェンの吸収は遅延する。
 d シクロスポリンは脂溶性が高く、吸収は食事の影響を受けない。×
解:シクロスポリンは脂溶性が高く、吸収は食事の影響を受ける


問153.下図は、グリコシル化した遺伝子組換えヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を静脈内投与(    )と皮下投与(一一 一)した後の血漿中濃度時間曲線である。
静脈内投与に比べ、皮下投与の方がGM-CSFの血漿中滞留性が高くなる原因について正しい記述はどれか。
 1 皮下投与されたGM-CSFは、皮膚細胞間液中のたん白質と複合体を形成し、ペプチダーゼに対する安定性が増大するため。×
解:GM-CSFは分子量が大きいので、ペプチダーゼで分解される心配はない
 2 皮下投与されたGM-CSFは、分子量が大きいため毛細血管の間隙を透過しにくく、リンパ経路を通って循環血液中へ移行するため。
 3 皮下投与されたGM-CSFは、皮膚の細胞膜に局在する受容体に強く結合するため。×
 4 皮下投与されたGM-CSFは、血流律速で循環血液中に移行するため。×
解:皮下投与されたGM-CSFは、リンパ液のながれる速度が律速である。
 5 皮下投与されたGM-CSFは、糖鎖が速やかに分解するため。×
解:GM-CSFは、糖鎖はついていない




問154.薬物の投与設計に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a コンパートメントモデルに従う薬物を、その血中消失半減期の4倍の時間、静脈内定速注入で投与したとき、血中濃度は定常状態の値の90%以上に達する。
 b 2-コンパートメントモデルに従う薬物の負荷投与量は、その薬物の定常状態血中濃度を定常状態分布容積で除した値として求められる。×
 c 1-コンパートメントモデルに従う薬物を繰り返し投与し、血中濃度が定常状態に達したとき、繰り返し投与間隔ごとの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、同じ投与量を単回投与した時のAUCと等しい。


問155.薬物の代謝酵素活性は個人によって顕著に異なることがある。図1~5は、それぞれある薬物を4人に経口投与した時の血中濃度時間曲線を片対数グラフで比較したものである。個人差の傾向をもっとも良く反映した図はどれか。
 ただし、この薬物の体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従い、吸収性は良好であり血漿たん白結合は無視でき、肝代謝が主たる消失経路で固有クリアランス律速で消失するものとする。

解:1

問156.体内動態の非線形性に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 腎排泄が主たる消失経路の薬物について、静脈内投与量を増加したときに血中消失半減期が長くなった。最も可能性の高い原因は、腎尿細管分泌過程の飽和である。ただし、この薬物の腎クリアランスは低投与量では、糸球体ろ過速度より大きい。
 b 肝代謝が主たる消失経路の薬物について、静脈内投与量を増加したときに血中消失半減期が短くなった。最も可能性の高い原因は、肝代謝過程の飽和である。ただし、薬物の投与量を増加しても肝血流速度は一定である。×
解:肝代謝が主たる消失経路の薬物について、静脈内投与量を増加したときに血中消失半減期が短くなった。最も可能性の高い原因は、薬物の血漿たん白結合の飽和である。
 c 肝代謝が主たる消失経路の薬物について、2倍量の薬物を経口投与したとき、血中濃度時間曲線下面積(AUC)は1.5倍であった。最も可能性の高い原因は、肝代謝過程の飽和である。ただし、この薬物の血漿たん白結合率は一定である。×
解:肝代謝が主たる消失経路の薬物について、2倍量の薬物を経口投与したとき、血中濃度時間曲線下面積(AUC)は1.5倍であった。最も可能性の高い原因は、肝血流の増加である。ただし、この薬物の血漿たん白結合率は一定である。


問157.薬物Aの血漿たん白結合傘は50%で、一部は肝臓で代謝され、そのクリアランスは12.5 mL/minである。薬物Aは、重曹服用等により尿をアルカリ性にすることで、腎臓の尿細管部位における未変化薬物の再吸収率がO.94から0.70に減少することが知られている。この場合、薬物Aの全身クリアランスはどのように変化すると考えられるか。なお、糸球体ろ過速度(GFR)は、125 mL/minで、尿をアルカリ性にすることによる変化はない。尿細管分泌は無視できるものとする。
 1 約1/5に減少する。
 2 約1/2に減少する。
 3 ほとんど変化しない。
 4 約2倍に増加する。
 5 約5倍に増加する。
 


問158.数ケ月間にわたって毎日ジゴキシン0.25 mg錠1錠を自宅で服用していた患者(体重50 kg)が、ジゴキシン中毒の疑いで入院した。入院直後のジゴキシン服薬前の最低血中濃度が4.0 ng/mLを示したので、服薬を中止した。ジゴキシン血中濃度が4.0 ng/mLから2.0 ng/mLに低下するにはどれくらいの時間を要するか。なお、ジゴキシン錠のバイオアベイラビリティは0.7、分布容積は4.8 L/kgであり、最低血中濃度は平均血中濃度とみなすことができる。

  1 27 hr  2 38 hr  3 1.9d ay  4 2.7 day  5 3.8 day
 


問159.次の記述は薬物のバイオアベイラビリティに関するものである。正しいものの組合せはどれか。
 a 肝代謝が唯一の消失経路である薬物の肝抽出率が60%であるとき、この薬物を経口投与したときのバイオアベイラビリティは40%以下である。
 b 相対的バイオアベイラビリティは、ある薬剤を経口投与したときの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と静脈内投与したときのAUCの比率から求める。×
解:絶対的バイオアベイラビリティは、ある薬剤を経口投与したときの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と静脈内投与したときのAUCの比率から求める。
 c 難溶性医薬品の結晶の粒子径が大きい程、胃内容物排出速度が大きくなりバイオアベイラビリティは高くなる。×
解:難溶性医薬品の結晶の粒子径が大きい程、溶解が遅いのでバイオアベイラビリティは低下する
 d 直腸下部の血管は門脈を経ずに全身循環につながっているので、坐剤として投与された薬物は肝初回通過効果を回避することができる。


問160.下記の図は、ある薬物の3種類の製剤X、Y、Zに関する血中濃度の時間曲線を示しており、血中濃度時間曲線下面積(AUC)の大きさを比較すると、X = Y > Zであり、最高血中濃度はY > X > Zである。バイオアベイラビリティ(BA)及び生物学的同等性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 1 XとYのBAは等しく、生物学的に同等である。
 2 XとYのBAは等しくないが、生物学的に同等である。
 3 XとYのBAは等しいが、生物学的に同等ではない。
 4 ZはXに比してBAは小であるが、生物学的に同等である。
 5 ZはYに比してBAは小であるが、生物学的に同等である。




問161.高齢者の薬物動態に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 胃酸分泌の低下による胃内pH上昇のため、弱塩基性薬物の吸収は低下する。×
解:胃酸分泌の低下による胃内pH上昇のため、弱塩基性薬物の吸収は増加する。
 b 肝血流量が低下するため、血流律速で肝消失型の薬物のクリアランスは低下する。
 c 体脂肪/体水分の値が上昇するため、脂溶性薬物の分布容積は増加する。
 d 糸球体ろ過率が低下するため、腎排泄型薬物のクリアランスは増大する。×
解:糸球体ろ過率が低下するため、腎排泄型薬物のクリアランスは低下する。


問162.アミノグリコシド系抗生物質の投与法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 腎機能障害患者において投与間隔を調節して投与する場合、一般に消失半減期が長い患者では、投与間隔が長くなる。
 b 腎機能障害患者において投与量を調節する場合、患者のクレアチニンクリアランスを指標に投与量を決定することがすすめられる。
 c 投与直後の最高血中濃度が投与前の最低血中濃度の2倍以上を示せば、副作用発現の危険性は高くなる。×
解:投与直後の最高血中濃度が投与前の最低血中濃度の1/2より小さくすることによって、副作用発現の危険性は低くなる
 d 高齢者では腎機能が低下していることが多いため、投与量を増量する必要がある。×
解:高齢者では腎機能が低下していることが多いため、投与量を減量する必要がある。


問163.病態時の薬物体内動態に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a トルブタミドは、肝固有クリアランスが小さいために、肝障害に伴う肝血流量低下の影響を受けやすく、全身クリアランスが減少しやすい。×
解:トルブタミドは、肝固有クリアランスが全身クリアランスとほぼ等しいために、肝障害に伴う肝血流量低下の影響を受けず、全身クリアランスはあまり変わらない
 b うっ血性心不全の患者では、健常人に比べ心拍出量が減少するために、リドカインの全身クリアランスは低下する。
 c プロカインアミドは、腎臓からの未変化体の排泄率が小さいために、腎障害時には消失半減期が短くなりやすい。×
解:プロカインアミドは、腎臓からの未変化体の排泄率が小さいために、腎障害時には消失半減期が長くなりやすい。


問164.抗てんかん薬のフェノバルビタールの血中薬物濃度モニタリングに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 測定値が有効濃度域にあるかどうかの判定は、定常状態到達後の測定値を用いて行わなければならない。
 b フェノバルビタールの血中濃度に影響を及ぼす薬物は知られていないので、併用薬について調査する必要はない。×
解:フェノバルビタールの血中濃度に影響を及ぼす薬物は知られているので、併用薬について調査する必要がある
 c 薬効・毒性と血中濃度間に相関がないために、モニタリングが行われる。×
解:薬効・毒性と血中濃度間に相関があるために、TDMが行われる。
 d 消失半減期は、小児の方が成人より短い。


問165.薬物Aの血中たん白非結合率(fu)は0.02で、定速静脈内投与によって定常状態に達したときの血中全薬物濃度ほ2μg/mLであった。この状態で薬物Bを併用し両薬物ともに定常状態になったとき、薬物Aのfuは、0.06に上昇し、その血中全薬物濃度は0.67μg/mLとなった。薬物Aの薬理効果は血中非結合形薬物濃度に比例し、薬物Aと薬物Bの間には薬理学的相互作用はない。薬物Bを併用することによって、薬物Aの薬理効果はどのように変化すると予測されるか。

 1 1/5に減少する。
 2 1/3に減少する。
 3 ほとんど変化しない。
 4 1/5だけ増加する。
 5 1/3だけ増加する。
 


問166.薬物A~Dについて、それぞれ3種類の異なる含量の水性注射剤(2 mL溶液、アンプル入り)を調製し、それらの40℃における経時的安定性を試験した。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 薬物Aについて、初期含量に対する残存率が90%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に無関係であった。この結果から、薬物Aの分解は0次反応であることがわかった。×
解:薬物Aについて、初期含量に対する残存率が90%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に無関係であった。この結果から、薬物Aの分解は1次反応であることがわかった。
 b 薬物Bについて、初期含量に対する残存率が90%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に反比例していた。この結果から、薬物Bの分解は2次反応であることがわかった。
 c 薬物Cについて、初期含量に対する残存率が50%となるまでの時間を求めたところ、初期含量に無関係であった。この結果から、薬物Cの分解は1次反応であることがわかった。
 d 薬物Dについて、初期含量に対する残存率が50%となるまでの時間を求めたところ、初期含量の2乗に比例した。この結果から、薬物Dの分解は2次反応であることがわかった。×
解:薬物Dについて、初期含量に対する残存率が50%となるまでの時間を求めたところ、初期含量の2乗に比例した。この結果から、薬物Dの分解は0,1,2次反応に該当しないであることがわかった。


問167.下図は、粉末薬品(単品)に種々の相対湿度のもとで水蒸気を接触させたときの、吸着等温線(・)及び一定温度における吸湿平衡図(II)を示したものである。この図に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。


 a I は水に不溶性の物質であり、IIは水溶性の場合である。
 b IはBET型といわれ、多分子層吸着の場合なので、この結果から単分子層飽和吸着量に相当する吸着量を求めることはできない。×

解:IはBET型といわれ、多分子層吸着の場合なであり、この結果から単分子層飽和吸着量に相当する吸着量を求めることができる
 c 相対湿度が臨界相対湿度以上になると吸湿量が大きくなる。
 d 大気の水蒸気圧が変わらなくても、温度を上げるとその温度での空気中の飽和水蒸気圧が大きくなるので相対湿度は変化する。
 e A,Bのような吸湿平衡を示す互いに反応しない二つの水溶性粉末薬品を混合すると、混合物の臨界相対湿度はCのように変化し、吸湿しやすくなる。×
解:B,Cのような吸湿平衡を示す互いに反応しない二つの水溶性粉末薬品を混合すると、混合物の臨界相対湿度はA のように変化し、吸湿しやすくなる。



問168.次のa~eのうち、粉体のぬれに関係した用語として正しいものの組合せはどれか。
 a 接触角
 b 安息角×
 c Elderの仮説×
 d Washburnの式
 e Kozeny-Carmanの式×


問169.水に不溶の高分子マトリックス中に薬物を分散させたとき、水中におけるマトリックス表面からの薬物の放出は次式に従うものとする。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 Q=[D・(2A-Cs)・Cs・t]1/2   (1)
  t : 時間
  Q :t時間後におけるマトリックスの単位面積あたりの累積薬物放出量
  D :マトリックス中の薬物の拡散係数
  A :マトリックス中の単位容積あたりの薬物量
  Cs :マトリックス中の薬物の溶解度

 a 薬物放出の初期においては、累積薬物放出量は時間の平方根に対して直線となる。
 b 薬物放出速度は時間の平方根に対して直線となる。×
解:薬物放出速度は時間の逆数の平方根に対して直線となる。
 c A 》Csのとき、(1)式は次式に近似できる。
    Q=[2A・D・t]1/2 ×
解:A 》Csのとき、(1)式は次式に近似できる。
    Q=2A 
 d (1)式は、薬物がマトリックス中に溶解し、その表面から放出されると仮定して導かれる。


問170.ある界面活性剤溶液の表面張力を測定して図に示す結果を得た。この図に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

 a 界面活性剤のミセルとしての濃度はBで最大となる。×

解:界面活性剤のミセルとしての濃度はBで最小となる。
 b BとCでは界面活性剤のミセルとしての濃度は同一である。×
解:BとCでは界面活性剤のミセルとしての濃度は異なる
 c 溶液表面への界面活性剤の吸着量は、AよりBの4方が多い。
 d BとCでは溶液表面への界面活性剤の吸着量はほぼ同一である。


問171.分散系の安定性に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 液中に分散したコロイド粒子はStokesの式に従って沈降する。×
解:液中に分散したコロイド粒子は沈降せず、ブラウン運動する。
 b 親水性コロイドは、溶液の電解質濃度を高めることによって安定化できる。×
解:親水性コロイドは、溶液の電解質濃度を高めることによって不安定になる
 c 乳剤のクリーム分離は、内相すべてが完全に合一することによって起こる。×
解:クリームの状態では核液滴は元のままの小粒子である。
 d ケーキングを起こしやすい懸濁剤は、分散媒の粘度を増大させることによって安定化できる。


問172.レオロジーに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 塑性流動では降伏値よりも大きなずり応力が与えられると、粘度はずり速度の増加とともに増大する。×
解:塑性流動では降伏値よりも大きなずり応力が与えられると、粘度はずり速度の増加しても一定である
 b 固体含量が50%以上のデンプン懸濁液では、ずり速度の増加とともに粗な充てん構造への変化を起こすため粘度は増加する。
 c ニュートン流動体においては、ずり応力を一定に保つと、ずり速度は変化する。×
解:ニュートン流動体においては、ずり応力を一定に保つと、ずり速度も一定である
 d 懸濁液ではチキソトロピー性が強いと沈降速度は減少するので、懸濁安定性は良くなる。


問173.日本薬局方通則に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a 標準温度は20℃、室温は15~25℃とする。×
解:標準温度は20℃、室温は1~30℃とする。
 b 減圧は、別に規定するもののほか、1.5 kPa以下とする。×
解:減圧は、別に規定するもののほか、2.0 kPa以下とする。
 c 医薬品各条の定量法で得られる成分含量の値で、単にある%以上を示し、その上限を示さない場合は101.0%を上限とする、
 d 密封容器とは、通常の取扱いにおいて、外部からの固形異物の混入を防ぎ、内容医薬品が損失しないように保護することができる容器をいう。×
解:密閉容器とは、通常の取扱いにおいて、外部からの固形異物の混入を防ぎ、内容医薬品が損失しないように保護することができる容器をいう。


問174.製剤の製造に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a Rittingerの式は、粉砕に要する仕事量は生成した新しい表面積に比例するという粉砕理論に基づいている。
 b 熱分解しやすい原体を微粉砕する場合には、ジェットミルを用いて粉砕すると分解をある程度防げる。
 c 原料粉体の混合に影響を及ぼす主要な物性としては、粒度、吸湿性、オリフィス流出速度、接触角、かさ密度、及び粘弾性などがあげられる。×
解:原料粉体の混合に影響を及ぼす主要な物性としては、粒度、かさ密度があげられる。
 d 球形顆粒を製造するには、まず原料を押し出し造粒機によって円柱状湿塊に製し、次いでボールミルに移して球状に整粒する。×
解:ボールミルは粉砕機である


問175.圧縮成形(打錠)に関する記述のうち、正しいものはどれか。
 1 ロータリー打錠機は、通常、ターンテーブルが1回転すると1個の錠剤ができる構造になっている。×
解:ロータリー打錠機は、通常、ターンテーブルが1回転すると複数個の錠剤ができる構造になっている。
 2 単発打錠機の臼に粉体を充てんし、上杵を下降させて製錠するとき、上杵と下杵にかかる応力を同時に測定し比較すると、通常、下杵にかかる応力の方が大きい。×
解:単発打錠機の臼に粉体を充てんし、上杵を下降させて製錠するとき、上杵と下杵にかかる応力を同時に測定し比較すると、通常、上杵にかかる応力の方が大きい。
 3 圧縮成形のために添加される滑沢剤は、粉粉体の流動性、圧縮成形性を向上させる働きがある。
 4 打錠用顆粒への滑沢剤の添加は、通常、造粒中に行う。×
解:打錠用顆粒への滑沢剤の添加は、通常、打錠機に入れる前に行う。
 5 打錠時に錠剤表面の一部が杵表面に付着する現象をキャッピングという。×
解:打錠時に錠剤表面の一部が杵表面に付着する現象をスティッキングという。



問176.固形製剤に用いられる添加物とその用途を次に示す。正しいものの組合せはどれか。

固形製剤に用いられる添加物

用途

a

結晶セルロース

------

滑沢剤×

解:

結晶セルロース

------

賦形剤(滑沢剤・結合剤・崩壊剤)

b

ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート

------

腸溶性コーティング剤

c

ヒドロキシプロピルセルロース

------

崩壊剤×

解:

ヒドロキシプロピルセルロース

------

結合剤

d

ポリビニルピロリドンK25

------

結合剤

e

ステアリン酸マグネシウム

------

フィルムコーティング剤

解:

ステアリン酸マグネシウム

------

滑沢剤



問177.以下の4種の物質を各1 g量り、それぞれ精製水で100 mLの溶液としたとき、最も高い浸透圧を示す物質と最も低い浸透圧を示す物質について、正しい組合せはどれか。
 a 塩化ナトリウム
 b 平均分子量20000のポリビニルアルコール
 c 容積価26.7 mLの薬物A
 d 食塩価(食塩当量)0.40 gの薬物B

    最も高い    最も低い
  1   a       b
  2   b       c
  3   c       d
  4   d       a
  5   d       c
 


問178.経口徐放性製剤及びその対象薬物に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
 a 徐放性製剤は、通常の製剤に比べ、薬効をより長時間持続させたり副作用の発現を低減させることが期待できる。
 b 一日の投与回数が多い薬剤は、徐放性製剤とすることによって服薬コンプライアンスの向上が期待できる。
 c 初回通過効果の大きい薬物は、徐放性製剤とすることによってバイオアベイラビリティが増大するという有利な点がある。×
解:初回通過効果の大きい薬物は、徐放性製剤とすることによってバイオアベイラビリティが減少するという不利な点がある。
 d 錠剤に徐放性コーティング皮膜を施して薬物放出速度を一定にすれば、小腸上部でのみ吸収される薬物の場合でも吸収率の低下や変動を防ぐことができる。×
解:錠剤に徐放性コーティング皮膜を施して薬物放出速度を一定にすれば、小腸上部でのみ吸収される薬物の場合でも吸収率の低下や変動を防ぐことができない



問179.日本薬局方収載の製剤の試験法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 1 直径20.0 mm以上の大きさの製剤、腸溶性の製剤、徐放性の製剤及び溶出試験の適用を受ける製剤には、崩壊試験法を適用しない。×
解:直径20.0 mm以上の大きさの製剤、徐放性の製剤及び溶出試験の適用を受ける製剤には、崩壊試験法を適用しない。
 2 軟カプセル剤の重量偏差試験は、内容物が固形ではないため内容物を含むカプセル全重量について行う。×
解:軟カプセル剤の重量偏差試験は、内容物が固形ではないため内容物を含むカプセル全重量について行い、適合しないときは内容物の重量を測定し試験を適用する
 3 フロースルーセル法は、内用固形剤からの主成分の溶出を試験する溶出試験法の1つである。
 4 プラスチック製医薬品容器試験法の透明性試験第1法は、容器の凸凹やエムボス加工があり、さらにわん曲のある容器にも適用できる。×
解:プラスチック製医薬品容器試験法の透明性試験第1法は、容器の凸凹やエムボス加工があり、さらにわん曲のある容器には適用できない
 5 輸液用ゴム栓は溶血性試験を行なう必要はない。×
解:輸液用ゴム栓は溶血性試験を行なう必要がある



問180.無菌製剤の調製、試験法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
 a エンドトキシンは発熱性物質の一つである。
 b 超ろ過法ではエンドトキシンは除去できない。×
解:超ろ過法ではエンドトキシンは除去できる
 c 無菌医薬品製剤を製造する場合には、必ず、最終容器に充てんした後に滅菌する必要がある。×
解:無菌医薬品製剤を製造する場合には、最終容器に充てんした後に滅菌する方法がある。
 d 注射剤の不溶性微粒子試験法には第1法、第2法があるが、いずれも白色光源における肉眼観察で行うことが規定されている。×
解:注射剤の不溶性微粒子試験法には第1法第2法があるが、それぞれ、光遮蔽型自動微粒子測定装置顕微鏡をもちいて観察することが規定されている。